孔鉉佑駐日大使、中国の発展について日本経済界に説明
2022-05-10 16:42

 4月26日、孔鉉佑大使は中日国交正常化50周年を記念して開催された日中投資促進機構(JCIPO)主催の交流会に招かれて出席し、100社を超える日本企業を前に講演した。孔大使は、中国人民政治協商会議全国委員会委員として「両会(全人代、政協両全国会議)」に出席するために帰国した経験を交えて、中国の発展状況や経済政策について全般的に説明し、次のように述べた。

 先ごろ、政協全国委委員として第13期政協全国委第5回会議に出席するために帰国した。今年の「両会」では、全国各地、各界の代表と委員約5000人が民意を結集し、国家的な問題について協議し、大は国の戦略方針から小は庶民の衣食住足まで各方面を網羅する、1万4500件以上の議案、提案、提言を出して、全過程人民民主主義の生き生きとした実践となった。「両会」は、中国の政治生活の重要な出来事であるだけでなく、世界が中国を観察し、理解するための窓でもある。きょうこの場をお借りして、現在の中国の発展状況や経済政策について友人の皆さんに紹介したい。

 第一に、特に感じたのは、情勢は複雑で厳しいが、私たちは自信に満ちあふれているということだ。いま100年に一度の変化と世紀の大感染症が重なった揺さぶりが続き、世界は新たな激動・変革期を迎えている。国際情勢は複雑で大きく変化し、ウクライナ危機が世界の政治・経済・安全保障を直撃して、国際金融・エネルギー・食糧市場の混乱を誘発し、米国の利上げサイクルの開始が顕著なスピルオーバー効果を生じて、世界経済の回復の勢いが著しく脅かされ、140余りの国と地域で経済成長の見通しが下方修正された。中国国内の複数地域で集団的感染症が生じ、上海をはじめ一部の都市では「スローボタン」を押さざるを得ず、経済・社会の秩序に深刻な影響を及ぼした。全般的に見て、中国の内外情勢は複雑性と不確実性を増し、予想を上回る突発的要因もあり、経済の挑戦〈試練、課題〉や困難は著しく増大している。

 それでも、私たちは自信にみちあふれている。実際、感染症の発生からこの2年間は逆風の中で船を進め、坂道を登り、最後に困難に打ち勝つことができた。2020年、中国は主要経済体〈エコノミー〉で唯一プラス成長を達成し、2021年には8・1%という目覚ましい成果を収めた。今年新たな挑戦に直面しても、私たちは困難を直視するとともに自信を固めており、一層進んで行動し、積極的に変化に対応、困難を克服し、自信と気力を持って経済の落ち着いた発展を維持するだろう。

 中国と日本は密接な関係にあり、日本は中国の感染状況に非常に注目している。中国は「動的ゼロ」〈ゼロコロナ〉をゆるぎなく堅持し、科学的で精密な予防・制御のレベルをたえず向上させ、ウイルスと競争し、より速いスピード、より短い時間、より少ないコストで最大の予防制御効果を上げることを目指している。感染症対策の実践は、「動的ゼロ」が依然として中国の国情に合った最善の予防・制御策であることを証明した。同時に、中央政府の強力な統括のもと、感染症の影響を受けた地域はいま寸暇を惜しんで業務と生産の再開に取り組み、産業チェーンとサプライチェーンの安定と円滑な流れを確保している。今回の感染症流行は、関連地域の日系企業の生産・経営活動に一定の影響を与えているが、私たちは中国の感染症対策に対する日本企業の理解と協力に感謝している。中国は日本企業の懸念を重視し、重点外資プロジェクト専門作業班〈タスクフォース〉を設置して、感染重点地域の外資企業が操業・生産再開、スタッフの入国、物流・輸送などの具体的な問題を調整・解決するのを手伝うようにした。日本企業が現実の困難に遭遇した場合、大使館は積極的に協力するつもりだ。

 第二に、特に感じたのは、中国経済が長期的に上向くというファンダメンタルズは変わらないということだ。今年私たちは5・5%前後の国内総生産(GDP)成長目標を定めた。一部の外国メディアは数字自体だけに注目し、中国経済は減速し後退しているとみており、この目標が高いベースを基礎にした中高速成長であり、より大きな増量とより重い分量を意味することを軽視している。2021年の中国のGDPは114・4兆元〈1元=約20円〉に達し、これを基に5・5%成長を実現すれば、その成長率は5年前の7・4%、10年前の10・5%に相当し、対応する経済増量は世界のGDPランキング上位20位に入る。私たちの成長目標は現実的で積極的なものだ。引き続き安定第一を堅持し、安定の中で前進を求め、マクロ経済基盤をしっかり安定させ、着実で効果的なマクロ政策を実施し、成長の安定、構造の調整、改革の推進を一体的にとらえ、市場の活力をより大きく呼び起こし、既定の発展目標の達成に努力していく。

 中国の今年第1四半期(1~3月)の経済データが出てきたばかりだ。GDP成長率は4・8%と年間目標を下回ったが、昨年の第4四半期に比べ0・8ポイント高く、幾重ものリスクと挑戦の下で、この成果を上げるのは容易ではない。さらに重要なのは、中国経済の回復基調が続き、主要指標が適正な範囲を維持し、全体として落ち着いたスタートを切っていることだ。これは中国経済が長期的に上向くファンダメンタルズが変わっておらず、十分な潜在力、強じん性があり、行動の余地〈政策余力〉が大きいという基本的な特徴も変っていないことを物語るものだ。国内外の多くの専門家は、中国経済は今年「前低後高」の傾向をたどると予測し、引き続き中長期的な見通しは明るいとしている。

 第三に、特に感じたのは、われわれの改革深化と開放拡大の決意がより強く、度合いがより大きいということだ。日本の経済界の友人は、私たちが全国統一の大市場建設を急ぎ、打ち立てる〈確立〉と打ち破る〈打破〉の並行を堅持し、地方保護と市場分割を打破し、経済循環を制約する詰まった部分とネックの部分を打破すると宣言しており、中国という超大規模市場の大から強へのアップグレード転換の実現が図られることに注目すべきだ。また私たちは、「東数西算」スーパープログラムが正式にスタートしたように、イノベーションによって質の高い発展を駆動することを堅持しており、デジタル経済の飛躍的発展を図り、全国の経済産業の枠組みを再構築し、中国の経済発展に強い成長エネルギーを注入する。私たちは高い水準の対外開放の拡大を続けて、今年第1四半期の貿易は前年同期比10・7%増となっており、地域包括的経済連携協定(RCEP)の発効がもたらす開放の配当の功績は大きい。私たちはたえず市場参入を緩和し、外資のネガティブリストを縮小し、外国投資奨励の範囲を拡大し、市場化、法制化、国際化されたビジネス環境を築いてきた。昨年、中国の外資利用実績が初めて1兆元を突破し、今年第1四半期も引き続き25・6%の高い伸びを保っているが、これは外資企業が中国の今後の発展に「信任票」を投じたものだ。私たちは日本の経済界が対中投資をもっと増やすことを歓迎しており、皆さんが賢明な選択をしたことを時間が証明してくれると信じている。長い間中国との友好を支持し推進してきた大事な力である日本の経済界が新たな時代の「経済による政治の促進」を積極的に展開し、中日の経済貿易協力の促進と両国関係の発展により大きな貢献をされることを期待している。