孔鉉佑駐日大使が中日国交正常化50周年記念国際学術シンポジウム「初心を振り返り未来に向き合う」に出席
2022-09-01 09:06

  8月27日、孔日本大使は招きに応じて中国社会科学院主催の中日国交正常化50周年記念シンポジウム「初心を振り返り未来に向き合う」に出席するとともにあいさつを行った。劉延元国院副石泰峰中国社会科学院院、程永中日友好会常副会伯江社会科学院日本研究所所、高洪・中日本学会会長ならびに福田康夫首相、垂秀夫駐中国大使、本雄二元駐中国大使など、中日両国の政府と各界の代表がシンポジウムに出席した。



 孔大使はあいさつの中で次のように述べた。1972年に中日が国交正常化を実現したことは、後の両国関係における新たな出発の原点となり、中日関係史上の新しい1ページを切り開いた。中日の2000年余りにわたる悠久の交流の史の大河の中では50年は非常に短い一幕かもしれないが、国交正常化からのこの50年間は、間違いなく中日関係の展が最も速く、両国人民にもたらした幸福が最も多く、地域と世界に対する影響が最も大きな50年だった。国交正常化がもたらした貴重な財産を振り返り、総括すると、主に以下の三点が挙げられると思う。

 第一に、中日の平和の50年間を切り開いた。国交正常化の実現は平和と展という代の潮流ならびに両国人民の平和と友好への願いという共通の意志に沿ったものであり、中日の後の立と隔絶を完全に終わらせ、両国に平和的展の略的チャンス期をもたらし、また地域の平和安寧の維持においても重要な貢献を果たした。この50年間、「中日共同声明」で「両国間の恒久的な平和友好関係を確立すること」が宣言され、「中日平和友好条約」で平和と友好の義務が明確にされ、「中日共同宣言」で「平和と発展のための友好協力パートナーシップの確立」が宣言され、さらに四つめの政治文書で「互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないこと」ならびに「互いの平和的な発展を支持する」という重要なコンセンサスがあらためて表明された。平和・友好・協力は一貫して双方が必ずつかまなければならない正しい方向である。

 第二に、協力ウィンウィンの手本を示した。国交正常化からの50年、中日の交流と協力は無から有、小から大へと、多くの分野で幾何級数的な成長と飛躍的な発展を実現した。特に両国の経済貿易協力は急速に展し、二国間の貿額はわずか10ドルから今や3700ドルを超える超大規模なものとなり、両国それぞれの展に強力な支えをもたらした。中日の利益の融合の広さと深さは現在の世界で見ても稀有なものである。中日両国はすでに相互に依存した密接不可分な利益共同体・展共同体ないしは運命共同体になっており、われわれ一人ひとりが中日関係の50年間の展の成果から切実な恩恵を受けている。

 第三に、矛盾と意見の相違を処理するための原則を確立した。50年前、両国の古い世代の指導者は非凡なる知恵と勇気でもって、相互尊敬・相互信頼と求同存異〈共通点を求めて相異点を保留する〉の精神に基づき、政治体制・社会制度・イデオロギーの差異を乗り越え、史・台湾などの重大な原則的問題について重要な諒解とコンセンサスを達成し、国交正常化を実現するための障害を取り除いた。この50年間、中日関係は風雨と起伏を経験した。双方は経験と教訓を総括し、四つの政治文書と一連の重要なコンセンサスを得て、各種の矛盾と意見の相違を処理するための根本的な原則を確立した。これは中日関係の長期的な安定のための根本的な保障でもある。




 孔大使は次のように強調した。国交正常化から50年後のこんにち、われわれが初心と原点を振り返るとき、(得た)基本的な経験の一つは両国関係の政治的基礎にかかわる重大な原則的問題において信義を重んじ約束を守るということだ。台湾問題の適切な処理は中日国交正常化を実現するための前提と基礎である。一つの中国の原則にはいかなる「グレーゾーン」もあいまいさも存在しない。日本側は国交正常化交渉の際、中国に対し厳粛な政治的約束をし、「中日共同宣言」の中で「改めて中国は一つであるとの認識を表明する」と明確にし、これまでに「一つの中国、一つの台湾」、「二つの中国」を支持せず、「台独」〈台湾分裂〉を支持しないと繰り返し表明してきた。しかし懸念すべきなのは、ある期から台湾問題において日本側のネガティブな動向が集中的に表れ、中日関係に深刻な妨害をもたらしていることだ。日本側が中日の四つの政治文書の精神とこれまでの約束を掛け値なしで順守するよう希望する。特に現在台湾海峡情勢はデリケートな瀬戸際にあり、しっかりと言動を慎重にし、中日関係により大きな損害をもたらさないよう希望する。

 孔大使は次のように述べた。近く国交正常化50周年を迎えるにあたり、中日関係は再び今後の行く末を決める十字路に差し掛かっている。中日関係がこの50年間に得た展の成果は、古い世代の指導者の先見の明と優れた見識、両国各界の幾世代もの人々の苦労と努力あってのものだ。同じように、われわれがこんにち行う選択も、中日関係の今後の史に深く影響を与えることになるだろう。双方は高度な責任感と使命感でもあって、当面の両国関係に存在する際立った問題を直視するとともにこれを解決し、共同で新しい代の中日関係の新しい未来図を切り開くために努力すべきだ。そのために双方は以下の事項にしっかりと取り組むべきだ。

 第一に、認識・位置づけの問題をしっかりと解決しなければならない。中日はパートナーになるのか、それともライバルになるのか。これは本来異論の余地がない問題だが、でも中日関係を妨害する現実的な問題になっている。中国の対日政策ははっきりとした一貫したものであり、ずっと中日の善隣友好関係の発展を主張している。しかし日本側の一部の人は中国に対する認識のバランスを失い、位置づけを見失っており、中国を略的な脅威さらにはライバルとみなす危険なシグナルを発している。日本側が中国に対する客観的で理性的な認識を確立し、建設的で安定した対中関係の構築についての姿勢表明をより多く具体的な政策でもって示し、中国と共に互いに協力のパートナーであり・互いに脅威とならないという政治的コンセンサスを実践し、中日関係の正しい方向をしっかりとつかむよう希望する。

 第二に、中日の協力のエネルギーを増強しなければならない。現在、中日の協力をめぐっては悲観的な論調が増えている。中日協力は「ボトルネック期」に入っており、両国はすでに構造的な相互補完関係から同質的争をするライバル関係に転換しているとする認識や経済協力よりも政治・安全保障上の利益を優先すべきだとする主張が見られる。だが両国の経済界に共通する意見は、中日の経済貿易協力は基盤が依然として安定しており、展の潜在力が依然として大きく、今後の協力に対し依然として自信に満ちているというものだ。双方が協力ウィンウィンの旗を高く掲げ、新しい成長点を絶えず育成し、協力の質とレベルを引き上げ、共同の利益という「パイ」を引き続き大きくし、弱肉強食の争のロジックが中日の経済貿易協力を主導・定義しないようにし、人為的に障害をつくりだすことに断固として反対するよう希望する。

 第三に、民間の友好のエネルギーを喚起しなければならない。われわれは、現在両国は民意レベルでの好感度が芳しくないものの、中日には平和と友好が必要であるというのが依然として大多数の両国の民衆の真実の心の声であると一貫して認識している。悠久の史と文化、膨大な人の行き来、多くの友好団体、250組余りの友好都市、これらはいずれも中日間に特有の貴重な資源であり、民間の交流をより深く展開するための強力な手掛かりである。双方は国交正常化50周年というきっかけをつかみ、人・文化の交流や民・地方の交流を幅広く展開するべきだ。特に将来に目を向けて若者の交流を強化し、民間の友好の熱意を喚起し、友好のプラスのエネルギーを伝え、中日関係のために堅実な民意の支えを築くべきだ。

 第四に、リスクの管理・コントロールをより際立った位置に据えなければならない。中日関係の展の歩みはこれまでも順風満帆だったわけではなく、今後もあれこれのリスクと試練に見舞われることになるだろう。当面の中日関係は新たな矛盾の頻発期のまっただ中にあり、新旧の問題が折り重なって際立っている。双方はリスク意識を強め、信義と約束をしっかりと守り、中日の四つの政治文書の原則と関係のコンセンサスの精神に基づいて、デリケートな要因を適切に処理し、これらが両国関係の大局に打撃を与えることを回避しなければならない。同時に、双方は相互信頼を絶えず蓄積・増進し、善意と誠意を持ちより、建設的な対話と協議を積極的に行い、矛盾と意見の相違を解消するための有利な条件づくりをし、両国関係の長期的な展のために負担とストレスを軽減するべきだ。

 第五に、国際・地域問題において積極的な役割を果たすべきだ。現在の世界情勢の混乱・変化と地域の複雑な情勢に対し、中日両国は肩を並べて立ちあがるべきであり、立するべきではないし、それ以上に衝突と対抗に向かうべきではない。現在、米国が中国に対する包囲と抑圧を絶えず強化しており、日本は米国追従の道を果てしなく突き進んでいる。これは中日関係を岐路に立たせる可能性があるだけでなく、地域の衝突と立を激化させ、ひいては日本自身をも危険な境地に立たされることになるだろう。日本側が略的な自主性を保ち、対中米関係をバランスよく処理し、国内の理性的な声と地域国の懸念を重視して、情勢の緊張の緩和と地域の安定維持で多く建設的な役割を発揮するよう希望する。双方は略的なコンセンサスを一層増やし、多国間主と自由貿易の擁護、地域統合の推進、グローバルな課題への対応などの方面で積極的に協力し、地域と世界の展を促進するためにしかるべき貢献を果たすべきだ。

 孔大使は次のように述べた。国交正常化50周年は里程標であり、それ以上に新しい起点でもある。この過去を受け継いで未来を開き、前人の事業を受け継ぎ,将来の発展に道を開くこの重要な年に、双方が共に努力し、平和と友好の初心に立ち返り、史の経験・教えをくみ取り、現在のチャンスとチャレンジを捉え、新しい代の要請に合致した中日関係を共同で構築し、より成熟し、安定した健全で強じんな中日関係を次の50年に引き渡すことを期待する。