呉江浩大使、福島の核汚染水海洋放出問題で日本側に厳正な立場を一段と明確に説明
2023-08-28 20:43

  8月28日、呉江浩駐日中国大使が求めに応じて日本の岡野正敬外務事務次官と会見し、福島の核汚染水の海洋放出問題について中国の厳正な立場を一段と明確に説明した。

 呉氏は日本側のいわゆる申し入れに対し、次のように指摘した。日本は国内外の強い疑問と反対の声を顧みず、頑なに核汚染水の海洋放出を始め、全世界の海洋環境と全人類の健康・安全に極めて大きなリスクと隠れた危険および予測できない危害をもたらし、中国を含む国際社会の強い憤りを招いており、これが目下の局面をもたらした根源である。日本はまず現実を直視し、反躬自省して、直ちに海洋放出を停止しなければならない。

 呉氏は次のように表明した。中国政府は海洋放出問題でいわゆる正しい情報を発表すべきだと日本側は言っているが、これは筋が通らない。中国が科学と事実の根拠を基に、自身の厳正な懸念と反対の立場を表明するのは、まったく正当で合理的なことだ。まさに日本の海洋放出には道義的、科学的および法的に重大な問題があり、日本は海洋放出行為の「ホワイトウォッシュ」をやめ、真に責任ある態度で周辺の隣国と誠実に意思疎通をはかり、国際社会の厳格な監督を受け入れ、確実に科学的、安全、透明な方法をとって核汚染水を処分すべきなのだ。中国の従来の懸念を踏まえ、このところの事態の進展と合わせて、日本はいくつかの問題に真剣に回答すべきである。

 まず、なぜ日本はトリチウムは稀釈処理済みだとわざと強調し、他の放射性核種には言葉を濁しているのか。日本はこれらの核種は処理のすえ、海洋放出前すでに国の安全基準を満たしたと言い張っている。しかし世界が知っているように、福島の核汚染水には60種余りの放射性核種が含まれており、トリチウムのほか、多くの核種の有効な処理技術はまだない。しかもいわゆる「基準を満たす」イコールない、稀釈イコール除去ではなく、総量が変わるわけではない。日本がどう弁明しようとも、大量の有害な核種が海に放出され、海洋の環境と人類の健康に予測できない危害をもたらす事実は変えられない。

 第二に、なぜ日本は全面的で系統な海洋環境モニタリングを行わないのか。現行のモニタリングプランは系統的、全面的でなく、放出されるすべての核種のモニタリングを行ってはおらず、モニタリングする媒体海洋生物の種類が少なく、海洋生態系への長期的影響評価の必要を満たせない。現在公表しているモニタリング方法とデータだけで、福島核汚染水の海洋放出は安全で無害だというのは科学的根拠がなく、人々を納得させるのは難しい。現在公表している大部分のデータは東京電力が自分で採取、検査、発表したものだ。東京電力にデータ改ざん、ごまかし、虚偽報告の数々の過去があることを考えれば、国際社会がそのデータの真実性と信頼度を疑うのはしごく当然のことである。

 第三に、なぜ日本は他の利害関係者が共に参加して国際モニタリングの仕組みをつくることを拒否するのか。日本は国際原子力機関(IAEA)を前面に出して「盾」にし、他の国のモニタリング参加は必ずIAEA主導の枠組み下でなければならず、IAEAとの協議・合意がなければ加われないと言っている。そして実際には、現在IAEAのモニタリングの枠組みには他の国や国際機構は現地参加しておらず、これでは国際モニタリングとは言えず、透明性を著しく欠く。日本が安全性について十分自信があるのなら、他の国が独自に実施する第三者モニタリングを含めて、各利害関係者が十分かつ効果的に参加する長期的モニタリングの国際的アレンジメントを積極的に支持すべきである。

 呉氏は中国駐日大使館・領事館が妨害行為に遭っていることについて厳重な申し入れを行い、次のように表明した。このところ中国の駐日大使館・領事館に日本国内から大量の迷惑電話がかかって、正常な運営が著しく妨げられている。日本側に法に基づいて処分し、中国大使館・領事館、在日機関、企業、公民および中国人観光客の身の安全を確実に保障するよう促したい。

 呉氏は次のように表明した。中国は引き続き日本の大使館・領事館の安全と日本公民の合法的権益を法に基づいて保障していく。同時に日本は、世論を正しく導き、誇張・宣伝をやめるべきで、事柄の焦点をずらし、自身の海洋放出という誤った行為を覆い隠そうとしてはならない。

 また次のように表明した。日本側は、海洋放出が中国民衆の大きな憤りを招いていることを認識すべきである。食品の安全性に対する中国消費者の憂慮は現実に存在するだけでなく、非常に強い。中国の海洋産業も経済的損失を被る大きなリスクに直面している。中国政府は一貫して人民中心を堅持しており、当然ながら人民大衆の強い懸念に応えなければならず、正当、合理的、必要な対応措置を取って海洋環境の安全を守り、中国民衆の健康を守る権利があり、責任がある。