博鰲アジアフォーラム2022年総会開幕式における習近平主席の基調講演〈全文〉
2022-04-22 10:02

  習近平国家主席が21日、博鰲アジアフォーラム2022年年次総会の開幕式〈オンライン出席〉で行った、「連携して挑戦を迎え、協力して未来を切り開こう」と題する基調講演の全文は次の通り。

 尊敬する国家元首、政府首脳の皆さま

 尊敬する国際機構責任者の皆さま

 尊敬する博鰲アジアフォーラム理事の皆さま

 ご来賓の皆さま

 ご在席の皆さま、友人の皆さま

 新旧友人の皆さまと再び「雲端」〈ネット上〉に相集い、共に博鰲アジアフォーラム2022年年次総会に出席できたことをうれしく思う。まず、中国政府と中国人民を代表し、また私個人の名で、年次総会に出席されたご来賓に謹んで心から歓迎の意を表する。年次総会の開催に、熱い祝意を表する。

 目下、世界の変化、時代の変化、歴史の変化がこれまでになかった形で進みつつあり、厳粛に対応しなければならない挑戦〈試練、課題〉を人類に突き付けている。人類は世紀の大感染症の靄(もや)から抜け出せないうちに、新たな伝統的安全保障のリスクに直面した。世界の経済回復がなお力強さを欠いているのに、開発デバイド〈格差〉の激化という矛盾が重なった。気候変動などの対策の赤字〈損失〉がなお埋められていないのに、デジタル・ガバナンスなどの新たな課題がわれわれの前に横たわった。このような背景の下で、フォーラム年次総会が「感染症と世界:グローバルな発展を共に促し、共通の未来を築こう」をテーマにしたことは重要な意義がある。

 「安危(あんき)ニ其ノ志ニ贰(そむ)カズ、険易(けんい)ニ其ノ心ヲ革(あらた)メズ」〈安全か危険かで志を変えない、難しいか安易かで改心しない意〉という。人類の歴史は、困難な時ほど、自信を持たなければならないと教えている。矛盾は怖くはない、人類社会の進歩を推しているのはまさに矛盾なのだ。いかなる艱難曲折も歴史の前進の歯車を止めることはできない。幾重もの挑戦を前にして、われわれは決して自信を失い、ためらい尻込みしてはならず、強い自信を持ち、激流の中を突き進まなければならない。

 ご在席の皆さま、友人の皆さま

 迷霧を抜け出し光明に向かう最も強大な力は一致協力であり、最も有効な方法は助け合いである。過去2年余り、国際社会は新型コロナウイルス感染症の挑戦に対応し、世界の経済回復・発展を図るために厳しい努力を払った。困難と挑戦は、人類が苦楽を共にする運命共同体で、各国が平和、発展、協力、ウィンウィンという時代の流れに沿い、人類運命共同体構築の正しい方向に向かって、連携して挑戦を迎え、協力して未来を切り開くべきことを一層はっきり教えてくれた。

 ―われわれは人類の生命・健康を共同で守らなければならない。人民の生命の安全と身体の健康は人類の発展進歩の前提である。人類が新型コロナウイルス感染症に完全に打ち勝つにはまだ厳しい努力を払う必要がある。各国は互いに支援し、防疫措置の協調を強化し、グローバルな公衆衛生のガバナンスをより完全にし、感染症に対応する強大な国際的合力を形成しなければならない。ワクチンのグローバル公共財としての属性を堅持し、ワクチンの発展途上国におけるアクセシビリティーとアフォーダビリティーを確保しなければならない。中国はすでに120余りの国と国際機関に21億回分を超えるワクチンを提供した。ワクチンの対外提供でも海外生産でも、中国は言った事は必ず実行し、必ず徹底してやっている。中国は引き続きアフリカ、東南アジア諸国連合(ASEAN)にそれぞれ6億回分と1・5億回分のワクチンを援助し、「免疫デバイド」を埋めるために積極的に努力する。

 ―われわれは経済の回復を共同で促進しなければならない。新型コロナウイルス感染症は過去10年の全世界の貧困削減の成果に重大な打撃を与え、回復の不均衡が世界の不平等を激化させ、南北の格差が拡大し続けている。われわれは開放型世界経済の建設を堅持し、経済のグローバル化という大勢をつかみ、マクロ政策の協調を強化し、科学技術を活用して成長エネルギーを増強し、グローバルな産業チェーン・サプライチェーンの安定を守り、一部の国の政策調整が重大なマイナスの溢出〈スピルオーバー〉効果を生じるのを防止し、全世界の均衡と調和のとれた、包摂的な発展を促進しなければならない。人民中心を堅持し、発展の促進、民生の保障を優先的な位置に据えて、政策を実施し、措置を講じ、行動を繰り広げるとき民生・福祉に役立つかどうかを第一の基準にしなければならない。発展途上国の差し迫ったニーズに注目し、貧困削減、食糧安全保障、開発資金調達、工業化などの重点分野をめぐって実務協力を進め、発展が不均衡・不十分という問題の解決に力を入れなければならない。昨年、私はグローバル発展イニシアチブを打ち出し、国連など国際機関と100カ国近くがこれに応え、支持した。われわれはいま国際社会と共に、イニシアチブの実現・実施を着実に推し進めている。

 ―われわれは世界の平和・安寧を共同で守らなければならない。「国治マレバ常ニ富ミ、而シテ国乱ルレバ常ニ貧スル」という。安全保障は発展の前提で、人類は不可分な安全保障共同体である。冷戦思考はグローバルな平和の枠組みを壊すだけで、覇権主義と強権政治は世界平和を脅かすだけで、ブロック対決は21世紀の安全保障の挑戦を激化させるだけであることを、事実は再度証明している。世界の安危与共〈安危を共にすること〉を促進すため、中国はここで、グローバル安全保障イニシアチブを提起したい。すなわち、われわれは共同安全保障、総合安全保障、協力安全保障、持続可能安全保障という安全保障観を堅持し、世界の平和と安全保障を共同で守らなければならない。各国の主権、領土保全を尊重し、他国の内政に干渉せず、各国人民が自主的に選択した発展の道と社会制度を尊重しなければならない。国連憲章の目的と原則の順守を堅持し、冷戦思考を捨て、一国主義に反対し、ブロック政治と陣営間の対決をやらないようにしなければならない。各国の安全保障上の道理にかなった懸念を重視することを堅持し、安全保障の不可分性の原則にのっとって、バランスのとれた、効果的で、持続可能な安全保障の枠組みを構築し、他国の安全保障を犠牲にして自国の安全保障を築くことに反対しなければならない。国家間の意見の相違や紛争を対話・話し合いを通じて平和的方法で解決することを堅持し、危機の平和的解決に役立つあらゆる努力を支持し、ダブルスタンダードを取らせず、一方的制裁や「域外適用管轄権」〈long-arm jurisdiction〉の乱用に反対しなければならない。伝統的分野と非伝統的分野の安全保障を一体的に守ることを堅持し、地域紛争とテロリズム、気候変動、サイバーセキュリティー、バイオセーフティーなどグローバルな問題に共同で対応しなければならない。

 ―われわれはグローバル・ガバナンスへの挑戦に共同で対応しなければならない。世界各国は運命を共にする大きな船に乗っており、逆巻く怒濤(どとう)を乗り越えて、光明の未来に突き進むには、必ず同舟相救うようにしなければならず、誰かを海に投げ込もうと企てることは受け入れられない。ここまで発展した国際社会はすでに、複雑で精巧な、有機的一体的な機器になっており、部品が一つ抜け落ちれば機器全体の運転が重大な困難に直面することになり、抜かれた人が傷つき、抜いた者も傷つくことになる。今日の世界では、いかなる一国主義、極端な利己主義もまったく通用せず、いかなる切り離し〈デカップリング〉、供給遮断、極限の圧力といった行為もまったく通用せず、またいかなる「小グループ」の形成、イデオロギーの線引きによる対立・対決もまったく通用しない。われわれは、共に協議・共に建設・共に享受するというグローバル・ガバナンス観を実践し、全人類の共通の価値を広く発揚し、異なる文明間の交流・相互参考を提唱しなければならない。真の多国間主義を堅持し、国連を中核とする国際システムと国際法を基礎とする国際秩序を揺るぎなく守らなければならない。大国はとりわけ手本を示し、率先して平等を重んじ、協力を重んじ、誠実を重んじ、法治を重んじ、大国らしさを見せなければならない。

 ご在席の皆さま、友人の皆さま

 アジアの人民は熱戦冷戦を経験し、世の変転・苦難をなめ尽くし、平和が非常に尊いもので、発展がなまやさしくないことをよく知っている。過去数十年、アジア地域は全体的に安定を維持し、経済が高度成長を続け、「アジアの奇跡」を成し遂げた。アジアがよくなってこそ世界はもっと良くなる。われわれは引き続きアジアをよく発展させ、よく建設し、アジアの強じん性と知恵、力を示し、世界の平和安定のいかり、成長の動力源、協力の新しい高地を築かなければならない。

 第一、アジアの平和を揺るぎなく守る。地域の平和安定は空から降ってきたものではなく、どこかの国が施したものでもなく、地域の諸国の共同の努力のたまものである。今日、アジアが最初に提唱した平和共存5原則と「バンドン精神」には一層の現実的な意義がある。われわれは相互尊重、平等互恵、平和共存などの原則にのっとり、善隣友好政策を取り、運命を自らの手にしっかり握らなけれならない。

 第二、アジアの協力を積極的に推進する。アジア諸国に、「山に出会えば一緒に登り、谷に出会えば一緒に渡る」、「サトウキビは同じ穴に生え、シトロネラは茂みになる」ということわざがある。ウィンウィン協力はアジアの発展で必ず通らなければならない道である。「地域包括的経済連携協定」(RCEP)の正式発効、中国ラオス鉄道の完成開通で、地域のハード接続、ソフト接続のレベルが効果的に引き上げられた。われわれはこれを契機に、アジアの一層開放的な大市場の形成を図り、アジアのウィンウィン協力の新たな一歩を促さなければならない。

 第三、アジアの団結を共同で促進する。ゼロサムゲームを対話協力に置き換え、閉鎖・排他を開放・包摂に置き換え、唯我独尊を交流・相互参考に置き換える。これはアジアのあるべき胸襟と気概である。われわれは地域の枠組みにおけるASEANの中心的地位を固め、各国の要求に合わせて配慮し、各国の利益を包含する地域の秩序を守らなければならない。国は大小強弱を問わず、域内域外を問わずすべて、アジアに乱れを添えるのではなく彩りを添えるべきであり、平和発展の大道を共に歩み、協力ウィンウィンの大計を共に図り、団結して進歩するアジアの大家庭を共に創らなければならない。

 ご在席の皆さま、友人の皆さま

 2カ月余り前、中国はシンプル、安全で、すばらしい北京冬季オリンピック・パラリンピック大会を世界に届け、各国人民に温かさと希望をもたらした。下半期に、われわれは中国共産党第20回全国代表大会〈党大会〉を開いて、中国の今後の発展の青写真を描く。

 中国経済は強じん性があり、潜在力が十分で、行動の余地が大きく、長期的に上向くというファンダメンタルズが変わることはなく、世界経済の下げ止まり・回復の強大なエネルギーを与え、各国により広々とした市場の機会を提供するだろう。中国は新たな発展理念を全面的に貫き、新たな発展の枠組み構築を急ぎ、質の高い発展に力を入れるだろう。世界にどのような変化が起きようとも、中国の改革開放の自信と意思が揺らぐことはない。中国は高い水準の対外開放を拡大し、外資参入のネガティブリストを掘り下げて実施し、外国投資奨励の範囲を拡大し、外資を最適化してサービスを促進し、サービス業の開放拡大の総合実験を増やすだろう。中国は自由貿易試験区、海南自由貿易港の建設を着実に推し進め、高い基準の国際経済貿易ルールと連結し、制度型開放を推進するだろう。中国はRCEPを全面的に実施し、より多くの国・地域との高い基準の自由貿易協定(FTA)の協議・調印を推進し、「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(CPTPP)と「デジタル経済連携協定」(DEPA)加入を積極的に推し進めるだろう。中国は高い基準、持続可能性、民生優遇の目標を堅持し、質の高い「一帯一路」共同建設を積極的に推し進めるだろう。中国は終始変わらず平和的発展の道を歩み、つねに世界平和の建設者、グローバルな発展の貢献者、国際秩序の守り手になるだろう。

 ご在席の皆さま、友人の皆さま

 中国の古人は、日日行キテ、千万里ヲ怕(おそ)レズ、常常做(な)シテ、千万事ヲ怕レズと言っている。われわれが手を携え心を同じくし、行きて辍(や)めざれば、必ず協力ウィンウィンの偉力を結集して、前進途上のさまざまな挑戦に打ち勝ち、人類の一層明るくより良い未来を迎えることができる。

 ありがとうございました。