孔鉉佑駐日大使,第17回「北京―東京」フォーラム閉会式に出席・あいさつ
外交部-驻外馆
2021-10-27 10:31

 孔鉉佑駐日大使は10月26日、第17回「北京―東京」フォーラム閉会式に出席、あいさつした。あいさつの全文次の通り。

 来賓の皆さま、友人の皆さま

 第17回「北京―東京」フォーラムにお招きいただき大変嬉しく思っており、まずフォーラムの成功に祝意を表します。「北京―東京」フォーラムはこの17年間、両国各界の有識者が集まり、政府に積極的に提言献策し、両国の相互理解の増進と中日関係の改善・発展のために重要な役割を果たしてきました。ここに、長期にわたり中日関係の発展に関心と支持を寄せてこられた友人の皆さまに心より敬意を表します。

 先ごろ、習近平主席が日本の岸田文雄首相と電話で会談し、両首脳は来年の国交正常化50周年を機に、新しい時代にふさわしい中日関係の構築を図ることで重要なコンセンサスを得て、両国関係の今後の発展の目標と方向を示しました。これを背景にした今フォーラムの開催は時宜を得たもので、重要な意義があります。2日間の踏み込んだ対話を経て、両国各界の人々が「不安定化する世界での中日関係と国際協調の修復」というテーマをめぐって、率直に意思疎通を図り、コンセンサスをまとめ、新しい時代の中日関係発展のために貴重な知恵を出しました。この機会に、フォーラムのテーマに合わせて、中日関係に対するいくつかの考えと見方を紹介したいと思います。

 目下百年ぶりの変化が深く進行しつつあり、新型コロナウイルス感染症が人類社会を大きく変え、世界は新たな激動・変革期に入っています。国際社会の共同の努力の下、世界の感染症は全体的に落ち着きに向かい、世界経済が回復をめざし、国際秩序の再構築が進もうとしています。同時に一国主義、覇権主義が依然として横行し、冷戦思考とブロック対決が再び頭をもたげ、気候変動、テロリズムなど地球規模の挑戦〈試練〉の解決が待たれ、平和的発展、連帯・協業、公平・正義を求める国際社会の声が日増しに強まっています。このように複雑な時代背景下で、中日関係は新たな岐路に立っており、まもなく国交正常化50周年の重要な節目を迎えます。われわれは過去を総括し、いまをとらえ、未来に向かって、中日関係を地域と世界の枠組みの中に置き、いかにして新しい時代にふさわしい中日関係の構築という政治コンセンサスを現実に変え、両国関係の新たな展望を開くかを真剣に考えるべきです。

 歴史的な視点で、中日関係の正反両面の経験を汲み取らなければなりません。歴史は最良の教科書であり、歴史を鑑にしてはじめて、中日関係をより深くより透徹して見ることができ、両国関係はより安定しより遠くまで進みます。国交正常化以降、中日関係は半世紀の急速な発展を経て、両国と両国人民に幸福をもたらし、地域と世界を左右するような影響を及ぼしました。過去の複雑ないざこざと現実の深いつながりをもつ重要な隣国として、中日関係発展の成功の経験は、双方が時代の潮流に沿い、両国人民の根本的利益から、政治制度とイデオロギーの違いを超えて、つねに平和、友好、協力の正しい方向をおさえるというもの、また双方が四つの政治文書の諸原則を固く守り、信頼を重んじ約束を守り、両国関係の政治的基礎を積極的に守るというものです。むろん、中日関係の発展には少なからぬ波瀾・曲折もあり、われわれに深い教訓を残しています。最も大事なのは、矛盾と意見の食い違いを確実に管理すること、特に重大な原則問題で道理をわきまえ、一線を越えないようにし、やってよいこと、さらにやってはならないことを知り、両国関係の大局が妨害や打撃を受けるのを回避することにほかなりません。これらの重要な経験・教訓は時代が変わっても古くなり色あせることはなく、新しい時代的背景の下で、中日関係の長期安定を図るための貴重な財産です。

 弁証法の視点で、中日関係が迎え、また受けているチャンスと挑戦をとらえなければならなりません。中日関係には以前からチャンスと挑戦が併存しており、カギは挑戦を解消しチャンスをつかめるかどうかにあります。目下中日関係は複雑な局面を迎え、内外要因の影響を受けて、両国関係の新しい問題と古い問題が交互に現れて、世論環境と国民感情が厳しさを増しています。双方は必ず、これを適時適切に管理し、マイナス要因が一段と際立ちさらには両国関係の方向を誤らせ、両国関係の大局を壊すことを回避しなければなりません。これと同時に、双方は全体に目を向け、新たな情勢下の中日関係のチャンスをつかまなければなりません。二国間レベルで、中日両国は共に発展を優先的な重要任務とし、共に感染症との闘い、経済の回復、暮らしの改善という共通の課題を抱えており、伝統的経済・貿易協力の深化とデジタル経済の発展、グリーン・低炭素など新しい分野は巨大な潜在力を秘めています。地域レベルで、アジアはコロナ後の回復の大事な時にあり、急速に上昇する地政学的安全保障のリスクに直面しています。中日は共にアジアを発展の拠り所としており、地域の平和・安定を守り、地域の融合した発展を促し、アジアが地政学的衝突と対抗の前線になるのを防止することは双方の共通利益に合致します。国際レベルで、二大主要経済体である中日は多国間主義を守り、世界の経済回復を図り、さらに地球規模の挑戦に協力して対応する共同の責任を負っています。双方はチャンスを逃さず、ウィンウィンの協力をつねに両国関係の主基調とすべきです。

 発展的視点で、一層成熟し安定した中日関係を築かなければなりません。新しい時代には新しい行動、新しい気運が求められます。双方は新たな情勢・新たな要求にベンチマークして、気合を入れて古い問題を解決しまた両国関係に新たな原動力を注ぐべきです。双方は以下の目標に向けて共に努力すべきだと思われます。第一は一層堅固な戦略的相互信頼を築くこと。双方は互いの発展に客観的、理性的に向き合い、互いを正しく認識し、戦略のバランスと自主性を保ち、互いに協力パートナーとなり、互いに脅威とならない政治的共通認識(コンセンサス)を確実に実行すべきです。対話と意思疎通を一段と強化し、戦略面の判断ミスを回避し、政治の安全と相互信頼の不足を補うべきです。第二はより高いレベルの互恵・ウィンウィンを実現すること。双方はポストコロナ時代を見据えて実務協力の質的水準を高め、たえず協力の潜在力を掘り起こし、協力のエネルギーを生み出し、同時に一層積極的開放的な心理状態で、公平で開かれた貿易・投資環境を共同で守り、産業チェーン・サプライチェーンの安全・安定を守らなければなりません。第三は国民感情の一層しっかりした支えを造ること。双方は国交正常化50周年記念を機に、人と文化のより幅広い交流を繰り広げ、コロナ後の人の往来・インタラクションを順次推し進め、交流の赤字を解消し、人々の心がもっと通い合うようにしなければなりません。両国の政府とメディアには正しいリーダーシップを確立し、真実の情報を伝え、前向きな社会・世論環境をつくり、両国の国民感情悪化の勢いをしっかり食い止める責任があります。第四はより建設的な多国間協力を進めること。双方は多国間分野を中日協力の舞台に仕立て上げ、真の多国間主義を実践し、積極的に責任感を示し、地域発展の協力を共同で促して、世界経済の回復を後押しし、地球規模の挑戦に協調して対応し、地域と世界の平和・安定・発展を守るためにしかるべき貢献をしなければなりません。

 来賓の皆さま、友人の皆さま

 国交正常化50周年を記念する最良の方法は次の50年に向けて、共同で新時代の中日関係の一層すばらしい展望を開くことにほかなりません。この過程は容易でないかも知れませんが、双方が同じ方向へ進み、積極的に行動するなら、必ずや実現できるでしょう。そのために共に努力しようではありませんか。

 最後に、今フォーラムの成功に再度祝意を表します。