「互いに見守り助け合う隣人の道」孔鉉佑大使が人民日報に寄稿
2020-02-14 16:21

13日付の人民日報に掲載された孔鉉佑駐日大使の「互いに見守り助け合う隣人の道」と題する署名入り文章の全文は次の通り。

新型コロナウイルス肺炎の感染に打ち勝つ予防・抑制・阻止の戦いの中で、日本を含む世界の多くの国々の民衆が中国人民と同じ側に立っています。最近、日本からの寄贈物資に関する1枚の写真がSNS上に繰り返し掲載されました。なぜなら、これらの物資の包装箱には「山川異域、風月同天」の8文字が書かれていたのです。中日両国はどちらも漢字文化圏にあり、日本の民衆はこのわずか数文字の言葉でひときわの思いやりと感動の気持ちを伝えました。

この漢字8文字の背後には、1300年近く前の中日友好往来の歴史的美談が秘められています。両国に広く名の知られた鑑真和上は当時、まさにこうした言葉に心を突き動かされて、仏法を伝えるため日本への東渡を決意したのです。日本に来るまでに6度の渡航を試みました。社会と時代が移り変わり、こんにち、日本の民衆の善い行いはこの8文字に新たな意味を与えました。一衣帯水の中国と日本は人的往来が活発で、利益が深く融合すると同時に、自然災害や重大な感染症などの様々なリスクに立ち向かう面で苦楽を共にしています。中日両国が共に経験してきたこれらの災難と感染は1面の鏡のように、両国人民が長期にわたり互いに見守り助け合ってきた隣人の道を映し出しています。

中国人民は、2008年に四川省汶川で大地震が発生した後、日本の各界から次々と援助の手が差し伸べられ、日本の救援チームと医療チームが被災地で瀕死の重傷者を救い負傷者の世話をしたことをいまなお記憶しています。日本の友人もまた、2011年の東日本大震災発生の後、中国の政府、民間各界および在日華僑・華人、在日中国系企業や留学生が次々と行動を起こし、日本の災害救助のために金品を寄付し、見舞い、支援してくれたことを常々口にしています。いま、わがことのように喜び、苦難を共にするそうした友情が新型コロナウイルスによる感染との戦いの中で再び現れています。

日本の二階俊博自民党幹事長、斉藤鉄夫公明党幹事長、茂木敏充外相、菅義偉内閣官房長官らの党・政府要人はそれぞれ異なる場で、中国の政府と国民が習近平主席の指導のもと、感染の予防抑制のために力強い措置を講じたことに敬意を示し、中国で感染が発生したのは自分の親戚や隣人が病気になったのと同じことだとし、日本側は中国側に全方位の支援と援助を提供する用意があるとの考えを表明しています。

日本政府はマスク、防護服、ゴーグルなど感染地域で不足している物資装備品を緊急調達し、チャーター機で武漢に輸送しました。東京、大分、熊本などの地方自治体は非常用備蓄を惜しげもなく取り崩し、直ちに中国側に対し緊急物資を送りました。日本の企業は次々と気前よく義援金を出し、友好団体や一般市民は思いやりの気持ちを示し、感染と戦う中国の人々に貴重な支援と無私の援助を提供しています。一昨日、日本の14歳の少女が初春の寒風の中、赤いチャイナドレスに身を包み、感染と戦う中国のために義援金を募っていました。その姿は改めて私たちの心を温かくしました。

現在、日本は中国以外で新型肺炎の感染確認症例が最も多い国となっています。自身も新型肺炎の予防抑制の圧力に直面する状況のもと、日本は人道的見地から中国に対し「雪中に炭を送った」〈他人の困窮を救う意〉のです。日本の政府高官と幾つかの学校はまた、中国・武漢のことについて悪意をもって語らないよう国民と学生に注意喚起しています。国境を越えたこうした友情は得難く貴いものであり、中国の民衆も心の底から感謝しています。

各国はみな一つの世界の中にあり、公衆衛生上の緊急事態を前にその運命は緊密に結びついており、独断専行できる国などありません。現在、感染の予防抑制は正念場に差し掛かり、中国の政府と人民は全力で感染と戦っています。私たちは感染に打ち勝つ自信と能力を完全に備えており、その勝算もあります。中日双方はそれぞれの強みを生かし、情報、政策、技術面の交流を引き続き強化し、新型肺炎対策について協力を行い、手を携えて感染を予防抑制し、両国と世界の衛生上の安全を守ることができ、これこそ新時代における中日関係のしかるべき姿と言えるでしょう。

新型コロナウイルス肺炎との戦いはまだ続いています。手を携えて感染と戦う過程の中で、双方のポジティブなインタラクション〈相互作用〉が中日関係の一層の改善と発展を後押しする新たな原動力となり、両国人民の友好的感情を増進する新たな絆となることを心から望んでおり、また、両国がこれを機に手を携えて前に進み、両国並びに世界の人々の健康と幸福を図るため共に努力することを期待しております。