孔鉉佑駐日大使,国際貿易促進協会のフォーラムで講演
2021-04-22 13:20

 4月21日、孔鉉佑大使は日本国際貿易促進協会(「国貿促」と略称)が主催するフォーラムに招かれ、中日関係と中日経済・貿易協力について講演した。河野洋平国貿促会長、笠井爚雄同理事長と経済界の関係者100人以上がフォーラムに参加した。駐日大使館経済商務処の宋耀明公使が大使に同行した。

 孔大使は講演で次のように述べた。中日は互いに重要な隣国および協力パートナーであり、両国関係の発展で平和、友好、協力の大方向が維持されれば、両国と両国人民に大きな利益をもたらし、地域と世界の安定と繁栄を守るためにも重要な貢献をする。最近中日関係には後ろ向きの動きが見られ、新しい複雑な状況に直面している。双方は一層積極的かつ理性的な心理状態でお互いを扱い、「協力パートナーであり、脅威にならない」という政治的コンセンサスを実行し、ゼロサム思考を捨て、相互ウィンウィンを求めなければならない。相互尊重、内政不干渉など中日の四つの政治文書の重要原則によって矛盾や意見の相違を処理しなければならない。中日の相次ぐオリンピック開催と中日国交正常化50周年の機を捉え、両国の各分野の交流と協力をさらに深めていかなければならない。また時代の流れに沿って、多国間主義を貫き、公正と正義を守り、ポストコロナ時代の世界の対立と衝突を減らし、協調と協力を増やし、猜疑と非難を減らし、善意と包摂を増やすようにしなければならない。

 孔大使は次のように述べた。今年中国共産党は創立100周年を迎え、中国は近代的社会主義国家を全面的に建設する新たな征途についた。第14次5カ年計画(2021~25年)では〈国内と国際の〉ダブル循環、イノベーション、産業近代化、デジタル、グリーン、農村振興および民生といったキーワードに着目し、中国経済の質の高い、持続可能な発展に弾みをつけている。第1四半期(1~3月)の中国経済は好調なスタートを切り、対日貿易は20・8%増となり、日本は中国の第2の貿易相手国の座を守った。日本は、中国の改革開放に深く関わった国として、中国の新たな発展段階を踏まえ、新たな発展の理念を貫き、新たな発展の枠組みを築く重要な協力パートナーとなるべきだ。中国は日本と共に努力し、両国首脳のコンセンサスを実行に移し、互恵協力を強化し、第14次5カ年計画がもたらす質の高い発展のボーナスを共有したいと考えている。また、日本が自国の利益と国際秩序を守る観点から、在日中国企業に公平・公正、透明で差別のないビジネス環境を提供し、グローバルな産業チェーン、サプライチェーンの安全性、信頼性、安定性を守るよう希望している。

 さらに次のように述べた。世界最大の発展途上国と最大の先進国である中国と米国は、地域と世界の平和、安定、発展に重要な責任を負っている。過去数年、中米関係は深刻な困難に遭遇し、両国および世界に悪影響を及ぼした。自らの核心的利益を守る中国の決意と意志は揺るぎないが、両国元首の電話会談の精神に基づき、米国との対話とコミュニケーションを維持し、互恵協力関係を発展させ、誤解と誤判断を防ぎ、衝突と対決を回避し、中米関係の健全で安定した発展を図りたいと考えている。菅義偉首相が訪米したばかりだが、日米首脳会談や共同声明の中国に関連する内容の基調は後ろ向きであり、中国は中日関係さらには地域情勢に関わる日本の基本的方向、中日間の基本的な信義に関わる問題での日本のやり方に不満と懸念を抱いている。日本は米国の盟友だが、中国との間にも同様に、履行すべき政治的な取り決めがあることを忘れてはならない。米国との関係が日本の外交のすべてではない。2国間の特殊な取り決めである日米同盟は、第三国に向けられてはならず、まして第三国の利益を損なってはならない。日本が信義を守り、中日の四つの政治文書の原則と関連の約束を貫き、戦略的自主性を真に実現し、いわゆる大国の対決の渦に巻き込まれることを避け、実際の行動によって2国間関係と地域の平和・安定の大局〈大きな利益〉を守ることを希望する。

 河野氏はあいさつの中で次のように述べた。国貿促は長年訪中団の派遣を続け、中国の発展の現状を理解してきた。日中関係が新しい複雑な状況に直面している今、日本の経済界は理性的かつ客観的な態度で事の真相を把握し、対中協力を一段と深め、日中関係の持続的な改善と発展のために強固な基盤を築かなければならない。