中国の初期対応は本当に遅れたのか--中国大使館が時系列発表
2020/06/11

 一部の人はいまなお、中国の新型コロナウイルス肺炎の初期対応の遅れが、国内ひいては全世界への感染拡大を招いたと言っているが、事実は果たしてそうだろうか。感染が起きた最初の半月、中国が何をしたか見てみよう。

 (1)2019年12月27日、湖北省中西医結合医院〈中国・西洋医学併用病院〉が武漢市江漢区疾病制御センター(CDC)に、原因不明の肺炎の症例を報告した。

 中国の地方官庁に対する、疑わしい症例の最初の報告だった。この後武漢市は専門家を集めて病状、治療結果、疫学調査、実験室での初歩的検査などの状況分析から、上記の症例をウイルス性肺炎と確認した。

 (2)12月30日、武漢市衛生健康委員会が管轄区の医療機関に「原因不明肺炎救護への取り組みに関する緊急通知」を出した。

 (3)12月31日朝、国家衛生健康委員会が工作組〈作業班〉、専門家組を武漢市に急行させ、感染処理の取り組みを指導し、現場調査を繰り広げた。

 武漢市衛生健康委が公式サイトで、27の症例を発見したとする、「当面の当市の肺炎の状況に関する通報」を発表した。この日から、武漢市衛生健康委は法に基づいて感染情報を発表し、同時に市民に密閉された、空気の流れない場面や人の集中した場所に行くのをできるだけ避け、外出するときはマスクを着けるよう指示した。

 (4)2020年1月1日、国家衛生健康委が感染対応処理指導小組を設置した。1月2日、国家衛生健康委が「原因不明ウイルス性肺炎予防抑制『三早』方案」〈プラン〉を策定した。中国疾病制御センター(CCDC)、中国医学科学院が検査のため湖北省から送られた第1陣4症例の標本を受け取り、直ちに病原鑑定を進めた。

 (5)1月3日、国家衛生健康委がCCDCなど4研究機関を組織して症例検体について実験室での平行検査を行い、病原の鑑定を一段と進めた。国家衛生健康委が湖北省衛生健康委と共同で「原因不明ウイルス性肺炎診断方案(試行)」など9文書を策定した。この日から、中国の関係方面は世界保健機関(WHO)、関係国と地域機構および中国香港マカオ台湾地区に適時〈タイムリー〉に進んで感染情報を通報し始めた。

 (6)1月4日、CCDC責任者が米疾病対策センター(CDC)責任者と電話会談を行い、感染の状況を紹介した。双方は情報の疎通と技術的協業について緊密な連携を保つことで合意した。国家衛生健康委が湖北省衛生健康部局

と「原因不明ウイルス性肺炎医療救助作業手冊」〈マニュアル〉を策定した。

 (7)1月5日、武漢市衛生健康委が公式サイトで、「原因不明ウイルス性肺炎の状況に関する通報」を出した。そして▽59の原因不明ウイルス性肺炎症例が見つかった▽実験室での検査の結果、インフルエンザ、鳥インフルエンザ、アデノイド、伝染性非定型性肺炎(SARS)および中東呼吸器症候群(MARS)などの気道病原は排除された―とした。中国がWHOに感染情報を通報した。WHOが中国武漢で発生した原因不明肺炎の症例について初めて通報した。

 (8)1月6日、国家衛生健康委が全国衛生健康工作会議で、武漢市の原因不明肺炎の状況を報告し、監視・分析・判断の強化と適時な感染処理を求めた。

 (9)1月7日、習近平中国共産党中央総書記が中央政治局常務委員会会議を招集した際、原因不明肺炎の予防・抑制への取り組みについて要求を出した。

 (10)1月7日、CCDCが新型コロナウイルスのウイルス株分離に成功した。

 (11)1月8日、国家衛生健康委専門家評価組が新型コロナウイルスを感染病源として初歩的に確認した。中米両国のCDC責任者が電話会談で、双方の技術交流・協力について討議した。

 (12)1月9日、国家衛生健康委専門家評価組が武漢市の原因不明ウイルス性肺炎の病原情報を発表し、病原体を新型コロナウイルスと初歩的に判断した。中国がWHOに感染情報を通報し、疫学検定でみられた初歩的進展をWHOに分かち与えた。WHOサイトが中国武漢の肺炎クラスターに関する声明を出し、新型コロナウイルスの短期間での初歩的鑑定を顕著な成果とした。

 (13)1月10日、CCDC、中国科学院武漢ウイルス研究所などの専門機関が検査試薬キットを初歩的に開発し、武漢市が直ちに入院加療中のすべての関連症例に対する一斉検査を実施した。国家衛生健康委、CCDC責任者がWHO責任者と感染対応処理についてそれぞれ電話会談を行った。

 (14)1月11日から、中国がWHOなどに感染情報を毎日通報した。

 (15)1月12日、武漢市衛生健康委が状況通報で初めて、「原因不明ウイルス性肺炎」の名称を「新型コロナウイルス感染による肺炎」と変更した。CCDC、中国医学科学院、中国科学院武漢ウイルス研究所が国家衛生健康委の指定機関として、WHOに新型コロナウイルスのゲノム配列情報を提出し、グローバル・インフルエンザ情報共有データベース(GISAID)に発表して、全世界で共有した。国家衛生健康委がWHOと新型コロナウイルス・ゲノム配列情報を分かち合った。

 (16)1月13日、李克強首相が国務院全体会議を招集した際、感染予防・抑制への取り組みについて要求を出した。

上記の時系列から、次のことがはっきり見て取れる。中国政府は症例報告を受け取ってから、症例の特徴を初歩的に確定、感染通報と防疫指示を出すまで、計5日かかった。現地にワーキングチームと専門家チームを派遣してから、関連診療プランを発表するまで、計4日かかった。早くも1月3日、中国はWHOおよび関係国への感染通報を始めていた。

 また中国の科学者は病原鑑定を進めてから、ウイルス株の分離に成功するまで、計7日かかった。ウイルス株の分離に成功してから検査試薬キットを初歩的に開発するまで計4日かかった。新型コロナウイルスを感染病原と初歩的に確認した翌日、関連の進展をWHOに分かち与えた。早くも1月12日WHOおよび全世界と新型コロナウイルス・ゲノム配列情報を共有していた。このような反応速度が速いかそれとも遅いか、「同僚」である各国の政府と専門家にはそれなりの客観的判断があるはずだと信ずる。

 中国には感染を隠す動機はないし、まして対応を遅らせる必要性もない。新型コロナウイルス肺炎の流行は未知のウイルスによる人類への奇襲であり、それを知り、つかむには時間がかかる。われわれが費やした時間はすべて必要な科学研究と意思決定に充てられている。また初歩的な結論が得られると、いち早くしかも持続的に関係方面に通報した。新型コロナウイルス肺炎流行の初期対応において、中国政府はしかるべき責任と義務を果たした。各国が真相をはっきり認識し、偏見から脱けだし、本当に全世界の協力による感染との闘いに精力を投じるようにするため、上記の基本的事実が役立つよう希望する。