改革開放40周年を記念し,中日協力ウィンウィンの新たな一章を記そう
李肇星中国人民外交学会名誉会長・元外交部部長
2018/12/03
 

尊敬する福田康夫元首相

尊敬する程永華大使

来賓の皆さま、友人の皆さま

こんにちは。駐日中国大使館と日本経団連共催の「中国改革開放40周年と中日経済貿易協力」シンポジウムに出席できたことを嬉しく思います。まず、シンポジウムの順調な開催を衷心よりお祝い申し上げ、開催のためにご苦労された友人の皆さまと同僚に心から敬意を表します。

今年は中国の改革・開放40周年で、40年来、中日両国は互恵協力によって、共に発展をとげました。今年は中日平和友好条約締結40周年でもあり、40年間に両国関係は幾度か風雨に見舞われましたが、平和友好の初心は忘れられていません。このような特別重要な年に、中日関係が正常な軌道に戻り、改善・発展の勢いが強まり続けていることを私たちは喜んでいます。今年に入って、習近平主席と安倍首相が何度も会談し、李克強総理が中国総理として8年ぶりに日本を公式訪問し、安倍首相が日本の首相として7年ぶりに中国を公式訪問し、両国の指導者が中日関係の改善・発展について幅広い重要なコンセンサスを得て、両国関係の前進の方向を共に定めました。いま両国指導者による一連の重要なコンセンサスは徐々に実行に移されつつあり、両国関係には喜ばしい、新たな気運がみられます。今回のシンポ開催はタイミングがよく、私たちはこのシンポジウムを契機に、双方が共に改革・開放後40年間の中日協力の歩みを振り返って、今後の中日互恵協力を展望し明るい未来を開くことを期待しています。

友人の皆さま

40年前、中国は改革・開放の偉大な歴史的征途に就きました。40年後の今日、中国はすでに世界第2のエコノミー、第1の工業国、第1のモノ貿易国、第1の外貨準備国になっています。40年間に、中国は年平均9・5%の経済成長を実現し、国民1人当たりの可処分所得が23・8倍になり、7・4億の人口の貧困脱却に成功しました。改革・開放は中国に天地をひっくり返すような変化をもたらし、また中国人民の様相を一変させました。私は1940年生まれで、新中国成立後、特に改革・開放以降、中国人民が貧困と飢えから衣食問題を解決するまで、さらにまずまずの暮らしを実現し、豊かさに向かうまでの時代の移り変わりを直に経験し、中国人民が立ち上がり、豊かになってから、強くなるまでの歴史的飛躍を見届けてきました。改革・開放は現代中国の運命を決定する大事な選択で、中国の発展・進歩で必ず通らなければならない道であり、改革・開放がなければ今日の中国はなかったとしみじみ感じています。

改革・開放は中国を大きく変えるとともに、世界に大きな影響を与えました。中国は開国建設の姿勢を貫き、私たちはつねに胸襟を開き、世界を抱いて、世界各国とのウィンウィンの協力、共存共栄のために力を尽くしています。中国は長年続けて世界の経済成長への寄与率が30%を超え、アジア金融危機と世界的金融危機〈即ちリーマンショック〉への対応で大きな貢献をし、世界の経済成長の主要な安定装置と動力源になりました。現在、中国は日本を含む130余カ国の主要な貿易相手になっており、中国の発展は世界の各国に一大チャンスを与えています。

友人の皆さま

習近平主席は、改革・開放は中国と世界が共に発展、進歩する偉大な歩みだと指摘しました。私たちは、この中に日本の重要な貢献もあることを忘れません。今年は中国の改革・開放の総設計師鄧小平訪日40周年でもあります。40年前、鄧小平副総理が招かれて訪日しました。新中国成立後、中国の指導者による初めての日本訪問でした。彼は中日平和友好条約の批准書交換式に出席した後、新幹線に乗り、日本の近代的工場を見学しました。新幹線に乗った感想を聞かれて、背中を押されて走っているみたいだ、中国は現在このような速度をとても必要としていると語りました。この一幕は中国人民の脳裏に深く刻まれ、私たちは中国と世界の開きを痛感して、改革・開放の道を歩む決意を固めました。2カ月後、世界的に注目される11期3中総が開かれ、改革・開放の大いなる幕が開いたのです。

日本は中国の改革・開放の重要な参画者、受益者として、中国の発展を支援するため積極的な貢献をしました。日本政府は円借款と政府開発援助(ODA)を供与して、中国のインフラ整備を支援しました。北京地下鉄1号線、首都空港第2ターミナルビル、中日友好病院など多くのプロジェクトがいまなお重要な役割を果たしています。日本企業が大量に中国市場に参入し、対中累計投資は1000億㌦を超え、3万社余りが中国に投資して工場を建てました。今日、中日貿易は3000億㌦を超え、人の往来は1000万人の時代に入り、両国と両国国民に実際の巨大な利益をもたらしており、互恵・ウィンウィンの手本と言えます。日本も、中国の発展のチャンスをとらえて、自国の発展を強く後押ししました。この過程で、日本最大の経済団体である経団連は、経済界をリードして中国の改革・開放のプロセスに高度に関与し、対中経済・貿易交流・協力を深化させ、両国関係の発展を後押しする重要な力になりました。この機会を借りて、経団連と日本経済界の友人の皆さまに謹んで心より敬意を表します。

友人の皆さま

改革・開放後40年間の風雨の歩みを振り返ると、中日両国が戦争の影を抜け出し、冷戦時代のゼロサム対決を乗り越えて、互恵協力の一大成果を収められたのは、結局のところ、平和と発展という時代の流れをしっかりつかみ、あくまでも両国国民の根本的利益を踏まえて、お互いの発展を自らのチャンスとみなし、平和友好、協力・ウィンウィンの正しい道を歩んだからであります。

過去40年、中国は改革・開放によって極めて大きい成果を収めましたが、世界最大の発展途上国である私たちが今後質の高い発展の目標を実現するには、必ず改革・開放の基本国策をいささかも揺るがず堅持しなければなりません。中国は改革を全面的に深化させ、高い水準の対外開放を続けます。開放の扉はますます大きく開かれ、水準はますます高くなるでしょう。習近平主席は最近、第1回国際輸入博覧会、APEC、G20など多国間の場でも、東北、広東、上海などの視察でも、前述の政策主張を明確に表明しています。これは中日のより高いレベルの互恵協力のための広々とした余地を与え、より大きいチャンスをつくるものと信じます。私たちは日本が一層積極的な姿勢で、中国の新たなラウンドの改革・開放プロセスに参画し、協力・ウィンウィンの新たな一章を記し続けることを歓迎します。

友人の皆さま

世界に目をやれば、経済のグローバル化はなお遮ることのできない歴史的流れで、グローバルなインダストリアルチェーン、サプライチェーン、バリューチェーンは高度に融合していますが、保護主義、一国主義が台頭し、多国間主義と自由貿易体制が揺さぶられ、世界はなお多くのリスクと不確実性を抱えています。周辺を見渡せば、私たちの置かれているアジアは世界で最も成長活力のある地域で、世界の経済成長を引っ張る主要なエンジンでもあり、地域統合のプロセスは加速期に入っています。足元をみれば、中日両国は共に新たな発展段階に入っており、双方の相互補完の強みがはっきりし、協力の潜在力は極めて大きい。両国関係の改善・発展に伴って、双方の互恵協力は新たなチャンスの時期を迎えつつあります。

新たな情勢下で、双方は流れに沿い、チャンスをとらえ、両国の指導者による重要なコンセンサスを実行に移し、中日の互恵協力を新たな段階に押し上げ、両国と両国国民に一段と幸せをもたらし、また手を携えて地域と世界の平和繁栄にしかるべき貢献をしなければなりません。

共同で経済・貿易協力の質向上・高度化を図る必要があります。日本側が中国の質の高い発展という新たなチャンスを逃さす、対中経済・貿易協力を積極的に拡大することを歓迎します。双方が科学技術イノベーション、省エネ・環境保護、介護・医療、財政・金融など重点分野の協力を一段と強化し、中日の互恵協力のために新たなエネルギーを注ぐよう希望します。

共同で第三国市場における協力を進める必要があります。双方は第1回中日第三国市場協力フォーラムで、50余件、総額180億㌦の協力取り決めに調印しました。双方が第三国市場協力のデモプロジェクトの早期誕生を急ぐよう希望します。私たちは日本側が「一帯一路」協力に積極的に参画し、中日の互恵協力を一層広々とした舞台へ向かわせることを歓迎します。

共同でアジア太平洋地域統合のプロセスをリードする必要があります。中日は地域の二つの重要な国であり、私たちは地域諸国の一様な願いに積極的に応えて、中日韓自由貿易協定および地域包括的経済連携協定(RCEP)交渉を加速し、地域各国の包摂的で、あまねく広がる発展の実現を後押しすべきです。

共同で自由貿易体制を守る必要があります。中日両国は共に自由貿易体制の重要な受益者であり、私たちには多角的貿易体制をしっかり守り、一国主義と保護主義に旗幟鮮明に反対し、貿易と投資の自由化・円滑化をたえず推し進め、開放型の世界経済を築く責任と義務があります。

最後に、今シンポジウムの成功を祈ります。経団連に代表される日本経済界が、引き続き中国の新ラウンドの改革・開放事業を支援し、中日関係の長期安定の実現と互恵・ウィンウィンのすばらしい未来のために新たなより大きい貢献をされるよう期待いたします。

どうもありがとうございました。