釣魚島紛争,中日両国の経済・貿易に影響出始める
2012/09/25
 

   日本一の繁華街を誇る東京・銀座の大通りは、気前良くお金を使う中国の観光客を急速に失っている。ここ数年、激増する中国の観光客は、落ち込む日本の国内消費に活力を注いできた。

   日本政府による11日の中国固有の領土である釣魚島「国有化」という不法行為は、両国の経済・貿易関係に影響を与え始めている。中でも、中国から日本への観光旅行は、ほぼ停滞に追い込まれている。東京・銀座で秋のベストシーズンに再び閑古鳥が鳴いているのは一つの縮図にすぎない。

   中国国旅、上海旅行社、康輝国際、厦門春輝国など中国の旅行社は、日本観光業務の受付をほぼ停止している。一方、旅行社の日本駐在事務所は、これまでと同様に多忙だが、それは日本観光ツアーの大量キャンセルを処理するためだ。

   7月現在、今年日本を訪れた中国人観光客は延べ95万人で、前年同期比72%増となった。中国青年旅行社・市場マーケティング部の責任者は、9月に入ってから急に落ち込み、現在の状況から見て、釣魚島紛争が中国人の日本観光に及ぼす影響の度合いは昨年の大地震に匹敵すると述べた。

   ますます多くの中国の機関・団体も交流計画を続々とキャンセルし、日本の違法な「島購入」行為に対して激しい抗議と徹底した反対を表明している。

   両国の航空会社はいずれも乗客の減少により便数を減らし、新路線の開設を延期している。報道によれば、全日空と日本航空は中国路線の2万3000席を取り止めた。中国東方航空の上海-仙台線の開設は延期され、吉祥航空も沖縄行きの新路線の開設を延期し、南方航空は9、10月の日本行きの一部路線の便数を減らし、海南航空は北京-沖縄線を一時停止した。春秋航空は上海-鳥取線の臨時チャーター機を取り止めた。エアチャイナは杭州、武漢など2線都市の日本行きの便を廃止する予定だ。

   少なくとも航空会社2社の株価が影響を受けている。先週の最終取引日に、日本航空の株価は4・3%下落し、東方航空の株価は1・6%下落した。

   1週間前、中国各地で日本の「島購入」の不法行為に対する抗議のため、トヨタ、ホンダ、日産など日本の自動車メーカーの中国工場は操業が一時ストップし、控えめに見積もっても生産損失は少なくとも2億5000万㌦を下らない。

   中国が世界一の自動車消費市場であることから、業界筋は日本車の9月の中国における販売は「壊滅的打撃」を受け、販売台数はおそらく前月より50%以上減少するだろうと見込んでいる。

   世界の自動車メーカー大手であるトヨタの豊田章男社長は、定例記者会見で「自分の体が痛めつけられているように感じた」と心情を表した。

   義憤に満ちた中国の消費者は、日本製品のボイコットを呼びかけ、日系ブランドの家電売上高も全体的に大きく低下している。大手チェーン家電企業の最近の内部データによると、日系カラーテレビの各ブランドの売上高はいずれも前年同期と比べ20%以上も大幅に下落している。ソニーの中国市場向けマーケティングプランの効果は大いにそがれている。「シャープ創業100周年」記念キャンペーンは取り止めになった。

   中国と関連の深い日本企業の株価は大幅に下落している。「9・18」事件の記念日に日産自動車の株価は5%下落し、ユニクロは7%、ホンダは2・5%下落した。

   日本の違法な「島購入」後、中国商務省の姜増偉次官は13日国務院新聞弁公室の記者会見で次のように述べた。中日の経済・貿易協力に良好な政治環境がなければならないことは世界に共通する基準だ。日本による中国の領土主権の侵害行為に対し、中国の消費者が理性的に自らの立場や考えを表明しても、それは彼らの権利であり、われわれは理解を示すべきだ。

   中国商務省の沈丹陽報道官は19日の定例記者会見で次のように述べた。日本の違法な「島購入」の茶番劇は、中日の経済・貿易関係に必ず影響を及ぼし正常な発展を損ねる。われわれはこれを望んでおらず、日本側が完全に責任を負わなければならない。

   昨年、中日双方の貿易額は3400億㌦余りとなり、両国民の交流は延べ500万人余りに達した。そのうち、中国人の来日は延べ100万人を超えている。中日の経済・貿易協力に伴い、人的交流も日増しに密接になり、1996年をターニングポイントに、日本の中国経済への依存度はますます大きくなり、一方、中国の日本への依存度は相対的に徐々に減少していった。

   現在、中国は日本の最大の貿易パートナーであり最大の輸出相手国だ。昨年、中国の日本からの輸入は日本の輸出総額の23・7%を占めた。中日双方の貿易額は日本の貿易額の21%を占め、中国の貿易総額の9・4%を占めた。

   明らかに、長年低迷を続ける日本の経済にとって、中国の避難港の地位は日増しに顕著、重要になっており、代替不可能なレベルにさえなっている。中国商務省の梅新育研究員は、「経済・貿易戦争を最終的にわれわれが選択せざるを得なくなっても、中国は自らの代償を日本の損失よりも小さくする能力がある」と述べた。

   東アジア地域の経済大国として、中日の経済・貿易関係に重大な不安定が生じれば、アジア全体ひいては世界の経済構造にも影響するだろう。中日韓3カ国は今年5月に共通認識に達し、中日韓自由貿易圏交渉の年内スタートに合意した。

   沈報道官は19日の定例記者会見で質問に答えた際、中日韓自由貿易圏交渉に関して、現在われわれはまだ検討中であり、この件も間違いなく影響を受けるだろうと述べた。

   中国外務省の報道官はこのほど次のように述べた。日本側が中国側の厳しい立場を直視できるかどうか、中国人民の正義の声を直視し、正しい態度と方法を取るかどうかは事態の発展に影響するだろう。日本側は直ちに中国の領土主権を損なう一切の行為を止め、対話交渉による係争解決の道にたち返るべきだ。

    しかし、いまだに日本政府のこれに対する実際の行動はみられない。中国商務省研究院の霍建国院長は、現在、中日の釣魚島紛争の経済・貿易に対する影響はまだ始まったばかりであり、今後、情勢が引き続き緊迫、悪化すれば、貿易、投資などの経済協力分野で連鎖反応が起きるだろうと述べた。

(北京9月25日発新華社)