中日の釣魚島紛争が世界経済に影響 中国のメガバンク,IMF・世界銀行総会を欠席 新華社解説
2012/10/08
 

   中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行などの中国のメガバンクは、国際通貨基金(IMF)・世界銀行年次総会を欠席することを明らかにした。総会は9日から14日まで、東京で開催される。

   アナリストは次のように分析した。中国の複数の代表的なメガバンクが同時に欠席することは、日本政府が違法に「島を購入」したことに端を発した中国と日本の釣魚島領土紛争と密接にかかわっており、これらの銀行は総会に出席した場合、会議の雰囲気が悪くなると考えたという。

   「日本政府が一方的に挑発してきたことで、両国関係は氷点下まで冷え込み、世界経済にも影響が出始めている。中国の複数のメガバンクが東京でのIMF・世界銀行年次総会を同時に欠席することがその表れだ」と商務部の梅新育研究員は述べた。

   梅研究員は次のように指摘した。世界第2位の経済体である中国と世界第3位の経済体である日本の関係が悪化すれば、世界経済の運営にも政策協調にも影響を与える。中国経済と日本経済を合わせると世界経済の20%を占め、両国の外貨準備高の合計は世界全体の40%以上を占める。

   欧州債務危機が深まり、米国経済の回復が遅れていることが、世界経済の回復にマイナスの影響を与えているなか、今年の総会は「危機の克服と持続的な回復」が主な議題で、一連の会議とシンポジウムが開催される。

   世界の金融界に大きな影響力を持つ中国のメガバンクが欠席することが、今年の総会の質に影響を与えることを憂慮している、とIMFは表明した。

   中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中国農業銀行は世界の銀行の時価総額上位10位以内にランクされている。なかでも中国工商銀行は5年連続で時価総額世界一をキープしている。また中国銀行は昨年、「世界の金融システムにおける重要な銀行」ランキングの29位にランクされ、新興経済体からの唯一のランクインとなった。

   現在の中日関係について、IMFのラガルド専務理事は次のように述べた。混迷する世界経済は領土問題が原因で中日両国が紛争状態に陥ることを受け入れることができない。世界経済を回復させるために、日本も中国もそのプロセスに参加する必要がある。

   先月10日、日本政府が中国の領土である釣魚島の「国有化」を宣言してから、両国関係は国交正常化以降で最悪の状態となり、すぐに経済貿易関係にも影響が出た。世界は、回復が遅れている世界経済に被害が出ることを懸念している。

   国家情報センター経済予測部の張茉楠副研究員は「日本が引き起こした釣魚島領土紛争は連鎖反応を起こしたことによって、中日経済貿易は厳冬期に入り、アジアのサプライチェーンや世界経済にも影響が広がり始めている」と述べた。

   世界的金融危機が発生してから、アジアでは地域協力を強力する願いが非常に強くなっており、欧米市場がもたらすマイナスの影響を相殺するため、多くの国々が関税障壁の撤廃、国境をまたぐ協力や物流分野における協力の強化を望むようになっている。しかし日本政府が釣魚島問題で重大な誤りを犯したことで、このプロセスの進展がひどく妨げられた。

   アジアのサプライチェーンは、世界の経済循環における最も重要な部分の一つである。日本は中国に次ぐ世界第2位の中間製品供給国だ。日本は中国にとって最も重要な中間製品供給国で、中国がアジア各国から輸入する中間製品は、日本から輸入するものが全体の3分の1を超える。

   日本の電子情報技術産業協会(JEITA)の統計によると、昨年の日本の電子部品メーカーの中国への輸出額は8320億円で、これは販売総額の約25%にあたり、輸出総額の約4割を占めた。

   日本が「島の購入」を宣言してから、日本の中国向け関連製品の輸出にも影響が出ている。張茉楠副研究員は次のように述べた。両国関係の緊張が続けば、日本の中間製品の供給量はさらに減少し、世界的な連鎖反応を引き起こすだろう。

   また次のように指摘した。時間の経過とともに、日本が釣魚島問題で犯した過ちによる世界経済へのマイナスの影響は大きくなり、疲弊している世界経済をさらに冷え込ませることになるだろう。

   海外の複数のアナリストは次のような考えを示している。日本政府が実際行動によって、できるだけ早く誤りを正し、中日関係を正常な軌道に戻すことは、両国にとっても、地域にとっても、世界にとっても有益だ。

(北京10月8日発新華社)