対中関係改善「切に願う」は口先だけではならない 新華社論評
2013/09/12
 

   新華社は10日、日本は対中関係改善を「切に願う」は口先だけではならないとする次のような論評を配信した。

   日本政府が中国固有の領土である釣魚島およびその付属の島嶼に対する不法な「国有化」を行ってから1周年となった。中日関係はこの事態で国交正常化からこの40年間で最も低潮な状態に陥り、いまも改善の兆しが見えない。

   今月5日、20カ国・地域グループ(G20)首脳第8回サミットの開始前、中国の習近平国家主席は日本の安倍晋三首相と各国首脳が会議開始を待つ貴賓室で出会い、双方は短く言葉を交わした。

   安倍氏が昨年の首相就任以来、中国の首脳と顔を合わせ、言葉を交わしたのは初めてで、また両国首脳が日本の不法な「島購入」以降顔を合わせ、二国間関係について言葉を交わしたのも初めてである。

   習近平氏は、日本は歴史を直視し、未来に目を向ける精神で、釣魚島、歴史などの敏感な問題を正しく処理し、意見の相違を適切にコントロールし、問題を解決する方法を見つけ出さなければならいと強調した。

   安倍氏は言葉を交わした中で、日中関係の改善を「切に願う」と表明した。

   だが国際世論が中日関係の緩和を期待する中で、安倍氏は7日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスでの記者会見で「切に願う」のとは反対の発言を行った。

   安倍氏は「尖閣諸島」(中国の釣魚島および付属の島嶼)は日本の「争う余地のない」領土で、「有効に支配している」と述べた。

   これは極めて遺憾なものだ。安倍氏のいわゆる「日中関係の改善を切に願う」という発言にどれだけ誠意があるのか疑う十分な理由がある。

   日本政府の「不法な島購入」からこの1年間、「積極的に対話を探る」姿勢を繰り返し言っているものの、口先で中日関係の重要性を強調し、「氷点」まで落ち込んだ二国間関係の改善を希望すると表明する以外、誠意のある実質的な動きはみられない。

   安倍氏は「対話の扉はいつも開いている」と繰り返す一方、釣魚島については「領土問題は存在しない」と何度も強調し、いかなる話し合いも拒否している。

   釣魚島問題は今回の中日関係が落ち込んだ原因で、これは両国にとって、どのようにしても避けようがないものだ。しかし、日本側の矛盾した言辞やまったく善意のない行動は中日関係改善の機会を捨てているのに等しい。

   第二次世界大戦後の国際秩序を決めた重要な国際的法律文書「カイロ宣言」、「ポツダム宣言」は無論、連合国が定めた戦後日本の施政権の範囲でも、釣魚島と付属の島嶼は日本の管轄に属さない。日本の「不法な島購入」は実際のところ、戦後国際秩序と人類の反ファシズム戦争勝利の成果を否定するものである。

   1978年の「中日平和友好条約」締結時、中国の指導者は釣魚島問題について「係争棚上げ、共同開発」を提案し、日本側もそれを了承して条約に調印した。だが日本の菅義偉内閣官房長官は、日中間に釣魚島問題についてそのような共通認識はなかったとしており、中日の四つの政治文書の一つの重要な基盤を否定したことになる。

   日本政府の釣魚島問題に対する強硬な姿勢はまたその防衛面の動きにも反映されている。例えば軍事演習に積極的に参加し、自衛隊の実戦能力を高め、先制攻撃の法的条件と実際の能力を躍起になって求め、軍事費の伸びをこの21年間で最大とし、新しいタイプの装備を大量に購入するなど、中日関係の敏感な神経をいたるところで刺激している。

   昨年9月、日本政府の「島購入」の茶番を演じたばかりの時に自衛隊は米軍とグアム島で初めて島をめぐる合同軍事演習を行った。内容は「島奪還」だった。今年6月、自衛隊は米軍のカリフォルニア州での演習に統合部隊を派遣し、参加した。

   日本政府はまた離島防衛および作戦能力向上のため、来年、陸上自衛隊を米海軍のハワイでの環太平洋合同演習(リムパック)に初めて派遣することを決定した。

   日本の小野寺五典防衛大臣は、実戦に近い訓練を通じ、陸海空自衛隊の共同作戦能力を高めると強調した。

   安倍政権はいわゆる「地球儀」外交を始動し、中国との間で海洋領土紛争のある一部東南アジアの国を利益で引き込み、中国をけん制し、その「遠交近攻」の陰険な戦略を進めている。

   中日の政治関係の冷え込みが双方の間の経済・貿易面にもたらすマイナスの影響が深刻で、歴史的に極めてまれな「政冷経冷」の状況になっている。データによると、今年上半期、中日の二国間貿易は前年同期比9・3%減となった。昨年の二国間貿易は前年比3・9%減だった。

   「まいた種は刈らなければならない」という中国の古い格言は明確である。世界の有識者はみな、日本が真に中国との関係改善を「切に願う」なら、誤った道をますます進むのではなく、十分な誠意と実際の行動によって、問題を正しく見据え、問題を正しく処理すべきであると考えている。