甘粛省
2004/02/05

  甘粛省内の耕地面積は353万ヘクタール、森林面積は426万ヘクタール、草原面積は1664万ヘクタール。そのほか農地に適した荒地が100万ヘクタール、林に適した荒地が666万ヘクタール、牧草地に適した山地が467万ヘクタールある。すでに発見されている各種鉱は3000カ所に上り、埋蔵量が探査済みの鉱物資源は94種類で、全国1の埋蔵量を誇る鉱物が10種類ある。とくにニッケル、銅、亜鉛、アンチモン、コバルト、イリジウムなどの非鉄金属と希有金属は大きな開発の可能性を有している。また大理石、石灰石、硫酸ナトリウムなどの非金属資源も豊富で、分布も広く採掘も容易である。

  省内には黄河、長江、内陸河の3大水系が流れ、年径総流量は614億立方メートル、理論上の水力発電埋蔵量は1724万キロワットで全国9位。石炭の探査済み埋蔵量は89億2万トン、石油埋蔵量は6~7億トンに上る。そのほか風力エネルギー、太陽エネルギーの開発潜在力も大きい。

  省内には659種の野生動物が生息しており、そのうちパンダ、金糸ザル、レイヨウ、雪豹、鹿、麝、フタコブラクダなどの国家保護動物が30余種いる。野性植物は4000種に上り、そのうち薬材品種の数は全国2位。

  甘粛省では幹線鉄道に沿って、蘭州、天水、白銀、金昌、嘉峪関市を中軸に、金川非鉄金属公司、白銀非鉄金属公司、蘭州精油化工総工場、蘭州化学工業公司、蘭州石油化学工業機器総工場、劉家峡発電所、酒泉鋼鉄公司、永登セメント工場などの大型中堅企業が建設されている。全省にはすでに非鉄金属、石油化学、エネルギー、機械、電子、電力、建材、軽紡績を中心産業とする大量の地方中小企業と関連経済体系が初歩的に形成され、中国の重要なエネルギー原材料、石油化学工業機械の製造基地となっている。とくに非鉄金属生産量及び生産額は、全国2位を占めている。

  甘粛の土地自然条件は複雑で地域差が大きく、多種多様な農業経営に有利である。穀物は小麦、トウモロコシ、粟、稲、ハダカ麦、ジャガイモなど20余種、商品作物は綿、麻、油、タバコ、砂糖、瓜、果物、野菜、茶、漢方薬材の10大種がとれる。河西と隴東は省内の2大農作物基地である。甘粛省はまた全国でも有名な5大牧畜区のひとつで、甘南大草原と河西大草原を主とする牧畜区は、恵まれた天然の牧場で牧畜業の発展に優れた自然条件を備えている。

  甘粛は中国西部と東部、南部、北部を結ぶ交通の要所であり、全省には鉄道、自動車道、航空を主とする交通網が形成されている。六つの幹線と十のローカル線と300以上の専用線から構成する鉄道網は全省を跨り、とくにヨーロッパ?アジア大陸横断鉄道の貫通で、甘粛を含む中国の広大な内陸地帯は一大国際通路に変貌した。道路は72本の国道、省道を中心とする道路網が各県、各郷に通じている。天水から北道、蘭州から中川空港へ至る高速道路もすでに開通した。空の便は省内外を結ぶ20余りの航路が開通し、蘭州を中心に北京、上海、広州、ウルムチ、及び省内の敦煌、酒泉、天水、慶陽に連絡している。蘭州―香港便もすでに開通した。日本の沖縄と蘭州の間に航空便が運航されている。

  通信面では郵便電信局(所)が全省の市?郷各地にくまなく分布し、電信業務も光ファイバー、デジタルマイクロウェーブ、衛星通信、プロセスコントロールなど各種の通信手段が開設されている。また各州?市の農村でも移動電話と無線通信業務が開通している。長距離電話は西北各省区のマイクロウェーブ枢軸ステーションと結ばれている。 省庁所在地の蘭州市では、全国自動通信網内にある中国の全都市及び世界180余国及び地区と直通電話が可能である。

  各分野の専門技術人員の数は全省で40万人、全民所有制の科学研究開発機構は252ある。そのうち国の科学研究機構は20数カ所で、国家級の実験室が6ある。新興の民営科学技術機構及び各種の農業技術養成推進機構は万に近い。甘粛省の石油化学、機械、紡績、非鉄金属、原子力科学技術、超高圧容器製造などの工業科学技術分野は、全国でも高いレベルにある。とくに重イオン物理、輻射技術、選択酸化触媒技術、氷河凍土?砂漠化治理、高原気象などは国家水準を代表するものである。ハイテク分野ではバイオテクノロジー、新素材、機電一体化、エレクトロニクス情報、原子力アイソトープ、精密化学工業が強い。

  農業科学技術ではオアシス灌漑、牧畜?獣医分野が比較的高いレベルを備え、とくに良質高効果農業、旱魃性中低生産耕地の改造、農業?牧畜?水産品選抜育成、節水型農業、雨水利用農業、動植物病虫害防止、バイオ技術などの方面で新成果をあげている。

  甘粛省は現在、世界5大州の90余国及び地区と広範な交流関係を結んでおり、国外の賓客も多く来訪している。全省71の市、県(区)が対外開放されており、日本の秋田県、アメリカ、ニュージーランド、トルクメニスタン、オーストリア、ハザクスタン、ハンガリー、ロシアなどの国と13の友好都市関係を結んでいる。各種の交流活動に従事する個人や団体を国外に派遣しており、文化芸術団の海外訪問公演ものべ110回に上る。

  甘粛省の主な輸出製品は紡績、化学工業、鉱物、非鉄金属の4大類商品で、日本、アメリカ、ドイツ、香港などの国や地区で経済貿易商談会を開催して、貿易事業の発展を促進している。80年代以降、世界銀行、国連食糧農業機関(FAO)、世界食糧計画委員会、欧州共同体(EC)と業務関係を成立している。これら国際組織の融資と援助を利用して、多くの水利、小流域総合治理、医療、教育プロジェクトを進めている。またアフリカ、西アジア、独立国家共同体(CIS)に技術スタッフ派遣や労務輸出を行っている。全省をあげて積極的に外国の知識経験と科学技術を導入し、国際入札方式を採用して、「大通県の川を秦王川に引く」大型水利工事を完成させた。