習近平副主席に共同インタビュー 日韓の北京特派員
2009/12/14

    習近平国家副主席は日本、韓国、ミャンマー、カンボジアへの公式訪問を前に、12日北京の人民大会堂で、日韓主要メディアの北京特派員の共同インタビューに応じた。発言の内容次の通り。

    (今回の訪問の意義について)日、韓、ミャンマー、カンボジア4カ国は中国の重要な隣国とパートナーである。われわれは、現在中日関係の全体的情勢がよく、中韓関係が安定した発展を続け、中国ミャンマーの善隣友好協力が日増しに強化され、中国カンボジアの全面的協力パートナーシップの発展が順調なことを喜んでいる。訪問期間中、4カ国の政府、与野党および各界と幅広く接触し、二国間関係と共に関心をもつ問題について突っ込んで意見を交換する。今回の訪問を通じて、中国人民と4カ国人民の友好的感情を深め、中国と4カ国間の互恵協力を強め、中国と4カ国の善隣友好協力関係を一層大きく発展させることを希望している。

    (日本への印象について)私はかつて福建、浙江と上海で仕事をした。これらの地方と日本の友好往来の歴史は古く、経済・貿易分野の協力と人文交流は非常に密接だ。私はそこで仕事をしている時、招きを受けて日本の長崎、沖縄などいくつかの地方を訪問し、多くの友人と知り合った。日本人民が勤勉で、智恵があり、温かく友好的なことが、強く印象に残っている。

    (現在の中日関係について)胡錦涛主席、温家宝首相が鳩山首相と続けざまに会談し、両国関係は好調なスタートを切り、好調な発展を維持している。中国政府はつねに戦略的見地と長期的視点から、中日友好政策を堅持している。われわれは双方が確立した諸指導原則を基礎に、交流を密にし、協力を深め、両国の戦略的互恵関係をたえず発展させることを願っている。私は今回の訪問で、中日の戦略的互恵関係の深化に貢献できるよう希望している。

    (東アジア共同体問題について)鳩山首相が東アジア共同体構想を打ち出したことは、東アジアの地域協力を重視する日本政府の積極的姿勢を示したものだ。この構想はアジアの一体化という大きなすう勢にかなっており、中日両国を含め地域各国が追求する共通の目標でもある。東アジア共同体を築くのは一つのシステム工学であり、現実を踏まえるとともに、長期的なことも考える必要がある。当面最も重要なのは、各国が対話と意思疎通を深め、コンセンサスを形成することだ。

    (韓国への印象に触れて)4年前、私は韓国を訪問した。韓国人民は勤勉で智恵があり、温かく友好的なことが、強く印象に残っている。中韓両国は地域的に近く、文化が通じ合い、両国人民には長い友好往来の歴史がある。国交樹立後、両国の人文交流は一層活発になり、百花斉放のよい基調を示している。これらの友好往来で、両国人民間の相互理解と友好的感情が深まり、両国関係の社会的基礎が一層強固になった。

    (中韓関係について)中韓関係はずっと順調な発展を続けている。両国の指導者が緊密に付き合い、経済・貿易分野の協力がたえず深まっている。胡錦涛主席と李明博大統領は、上海万博と麗水万博を契機に、2010年と12年をそれぞれ中国訪問年と韓国訪問年と定めることを取り決めた。私は双方が共に努力して、上海、麗水両万博を両国の人文交流促進の重要なプラットホームにし、両国の人文交流を新たな段階に進めるよう希望している。

    中韓関係を一層発展させるのは、両国人民の利益に合致し、地域の平和、安定と繁栄に役立つことである。われわれは韓国と共に、友好協力をたえず強化し、永遠によき隣人、よき友人、よきパートナーになることを願っている。私は今回の訪問を通して、中韓の各分野の友好交流と協力が強固になり、強化され、両国の戦略的協力パートナーシップが新たな情勢下にさらに発展するよう期待している。

    (中韓FTA問題にふれて)経済・貿易分野の協力を深めることは、中韓関係の重要な内容で、両国関係を発展させる重要な原動力でもある。中韓自由貿易圏(FTA)をつくることは、両国の経済・貿易協力の持続可能な発展にとって重要な意義がある。中韓FTA官産学共同研究がスタートし、双方は共同研究報告書の大部分の内容についてすでに一致しているが、同時に意見の食い違いもある。われわれは両国の関係官庁が小異を残して大同につく精神にのっとり、それぞれの産業の必要と受容能力に合わせて、引き続き作業を急ぎ、FTA正式交渉の早期スタートへの条件を整えるよう希望している。

    (中日韓3カ国協力について)アジアはいまや世界で最も発展の活力と将来性のある地域の一つになっている。中日韓は共にアジアの重要な国であり、3者の協力を強めるのは3カ国の利益にかなうだけでなく、アジアひいては世界の繁栄と発展にも資することである。われわれは歴史的チャンスを逃さず、協力分野をたえず拡大し、協力方式を革新し、3カ国のパートナーシップの中身を豊富にし、東アジア協力に対する中日韓協力の促進作用を発揮して、東アジア共同体の建設にしかるべき貢献をすべきである。

    (朝鮮半島核問題の6カ国協議について)半島の非核化を堅持し、対話を通じた、平和的方法による問題解決を堅持し、あくまでも半島と北東アジア地域の平和と安定を守るというのは、中国の一貫した立場である。中国は6カ国協議促進のために引き続き建設的な役割を果たしていく。われわれは関係各国が共に努力し、6カ国協議の早期再開をめざすよう希望している。6カ国協議を引き続き推進し、(2005年)9・19共同声明で決まった3大目標を全面的に実現することは、各国の共通利益に合致する。

    (中国のマクロ経済情勢と金融危機対応措置について)われわれは中央経済工作会議を開いたばかりだ。今年は新しい世紀に入って、中国の経済・社会発展が最も難しい年だった。国際金融危機がもたらす厳しい挑戦と極めて複雑な国際・国内情勢を前にして、われわれは危機対応のための包括的計画と関連政策・措置を適時に打ち出し、全面的に実施するとともに、たえず豊富に完全にして、経済成長の落ち込みから比較的早く脱した。景気回復の勢いが次第に強まり、内需の急速な伸びが続き、構造調整と省エネ・排出削減が積極的に進められ、重点分野の改革と対外開放がたえず深まり、民生が比較的よく保障され、改善されている。われわれは輸出入が約20%低下し、外需の経済成長寄与率がマイナス3・6%という状況下で、国内投資と消費需要の11・3%の伸びを実現し、第1―3四半期の経済成長率を7・7%に到達させた。これらの成果を上げるのは容易でなかった。中国経済は全体的に安定化(下げ止まり)・好転しているが、内外の環境は共に諸々の不確定要因を抱えている。中国政府はマクロコントロールをさらに強化、改善し、引き続き積極的財政政策と適度な金融緩和政策をとり、中国経済の安定した比較的速い発展をはかる。中国は今後も積極的な責任ある態度で、国際金融危機対応の国際協力に参加し、世界経済が一日も早く危機を抜け出すためにしかるべき貢献をする。

    (気候変動問題における中国の行動目標について)気候変動は世界各国に現実の重大な挑戦をもたらしている。この挑戦は地球規模のもので、いかなる国も単独では対応できず、各国が一致協力する必要がある。中国は発展途上国だ。それにもかかわらず、中国は近年、省エネ・排出削減面で一連の積極的段取りをとり、顕著な成果も収めている。われわれは最近また、これを基礎に、2020年のGDPあたり二酸化炭素排出量を2005年より40%―45%削減するという行動目標を設定した。これは気候変動対応のために最大の努力を払う中国の確固たる決意と政治的意思をよく現している。開催中のコペンハーゲン会議は全世界が共通認識を結集し、手を携えて気候変動に対応する重要なチャンスである。国際社会は「国連気候変動枠組み条約」、「京都議定書」および「バリ・ロードマップ」の授権を堅持し、「共通だが差異ある」原則を堅持し、共に努力して、会議で積極的成果が得られるようにすべきだ。中国は各国との協調を強め、建設的役割を果たすことを願っている。

    インタビューには武大偉外務次官が同席した。    (北京12月12日発新華社)