日本のギョーザ中毒事件に関する中国国務院新聞弁公室の記者会見実録
2008/02/28

 

        国務院新聞(報道)弁公室は2月28日記者会見を開き、国家品質監督検査検疫総局(質検総局)の魏伝忠副局長、公安省刑事捜査局の余新民副局長を招いて、日本のギョーザ中毒事件調査の進展状況を説明するとともに、質問に答えた。両部局では、日本に輸出されたギョーザによる中毒は、人為的に起こされた事件であると認定している。以下は記者会見の実録である。

 魯広錦:

 皆さんお早うございます。国務院新聞弁公室の記者会見に出席していただきありがとうございます。今年1月末から、日本で起きたギョーザ中毒事件が各方面の強い関心を集め、中国政府もこのことを重くみています。きょうは国家品質監督検査検疫総局副局長の魏伝忠氏、公安省刑事捜査局副局長の余新民氏を招いて、日本のギョーザ中毒事件調査の進展状況を説明し、質問に答えていただくことにしました。本日の会見には公安省物証鑑定センター副主任・研究員の王桂強氏、公安省首席刑事捜査専門家・高級技師の烏国慶氏も出席しておられます。

 まず魏伝忠氏に状況を説明していただきたいと思います。

 魏伝忠:

 記者の皆さん、おはよう。

 中国政府は日本で「ギョーザ中毒事件」が起きたことを重くみ、日本の消費者の健康を非常に気遣い、中毒になった患者が早く元気になられるよう心から希望している。同時に、全面的調査を迅速に進めている。以下、質検総局による調査の状況を簡単に説明したい。

 魏伝忠:

 1月30日、中国駐日大使館を通じて日本側から通報を受けた国家質検総局は事件を重くみて、迅速に一連の措置を講じた。

 (一)厚生省など日本の関係機関と連絡をとり、具体的状況を把握した。

 (二)すみやかに調査チームを設立し、保管されていた問題ロットのサンプル、前後ロットの製品および在庫製品のモニタリング検査を行った。その結果いずれもメタミドホスは検出されなかった。

 (三)天洋食品廠(工場)に生産と販売を停止し、また日本にある製品と日本へ輸送中の製品を回収するよう命じた。

 魏伝忠:

 (四)天洋食品廠の原料搬入、製造加工、包装、貯蔵、運搬、輸出の各段階について厳密な点検を行い、同社の監視カメラ資料を調べ、関係の製造記録を閲覧した。

 (五)2月3日、国家質検総局と商務省からなる作業チームが訪日し、中国側の調査の進展ぶりを説明し、日本側に進んで協力して調査を進めた。作業チームが日本から持ち帰った、製造年月日の異なる計10袋のギョーザサンプルについて検査・検討を行ったが、すべての検査の結果、メタミドホスとジクロルボスは検出されなかった。

 魏伝忠:

 (六)天洋は1995年に日本農水省の登録を受け、2001年3月と05年6月、2回にわたって日本農水省の立ち入り再検査にパスした。同社が10年余り日本に輸出した製品の品質は安定している。

 魏伝忠:

(七)2月4日、国家質検総局、河北省政府は日本政府が派遣した調査団を接遇し、天洋食品廠の調査を積極的に手配した。日本側調査団の作業のために提供できるすべての資料を提供し、日本側が必要とする場所と施設の調査をできる限り手配した。日本側調査団は天洋について全面的調査を行った後、調査の状況からみて、同社の作業場は清潔で、管理が行き届き、いかなる異常も発見されなかったと語った。

  魏伝忠:

 (八)2月12日、私と関係者は再度河北に行き、天洋食品廠の各段階について真剣な調査を行った。われわれの見方は日本政府調査団と完全に一致していた。すなわち、同社は正規の管理が行われ、関連資料はすべて揃い、それぞれの段階にはいかなる異常もない。

 魏伝忠:

 第1、同社の関係製品からは、わが国の作業チームが日本から持ち帰ったサンプルを含め、メタミドホスは検出されていない。第2、同社は正規の管理が行われ、各製造加工段階には異常は見つかっていない。これがわれわれの調査結果だった。したがって、われわれは今回日本で起きた「ギョーザ中毒事件」は農薬残留問題による食品安全事件ではなく、人為的に起こされた個別的事件であると考えている。

  魏伝忠:

 ここで再度強調したい。食品の安全性は世界各国が抱える共通の問題であり、両国間の食品安全性協力を強め、両国の経済・貿易の健全な発展をはかるため、中日双方が早急に食品の安全性に関する長期的協力の仕組みをつくるよう希望する。

 魯広錦:

 次に公安省刑事捜査局副局長の余新民氏に説明していただきたいと思います。

 余新民:

 記者の皆さん、おはよう。中国河北石家荘の天洋食品廠から日本に輸出されたギョーザによって中毒事件が起きた後、中国政府と関係機関はこれを重くみている。2月8日、公安省は特別の会議を招集して調査作業について検討し、公安機関に対しただちに調査を進め、真相を究明し、責任ある結論を出すよう求めた。

 余新民:

 2月9日、公安省は刑事捜査局の余新民副局長、首席刑事捜査専門家烏国慶氏ら捜査、毒物、痕跡専門家からなる作業チームを石家荘市に派遣、河北省の公安機関はすみやかに100人近い警官を集め、全面的で綿密な調査活動を迅速に展開した。

 余新民:

 一、原材料の調査。天洋の製造で使われている野菜、小麦粉、肉、食用油、水、調味料、外包装などの原材料の生産、輸送、貯蔵、使用など各段階について汚染または毒物混入の可能性があるかどうか調査を行った。そして毒の入った2ロットのギョーザ製造に使われた主要な原料は山東、内モンゴルなど六つの異なる産地のものであることがわかった。これらの原料は他のロットのギョーザや四角包、牛丼、ロールキャベツなどの製造にも使われていたが、毒物の混入やメタミドホスによる汚染は発見されなかった。

 余新民:

 二、製造ラインについての調査。ギョーザの製造ラインには主に、原材料処理、加工成型、蒸し、冷凍、検査・包装および箱詰め・入庫などがある。製造ライン全体は集団作業で、互いに監視ししかも厳格な隔離制度がある。製造区域にはすべて監視カメラが設置され、リアルタイムで監視し、しかも製造時には品質検査係が現場を巡回している。ここでも毒物混入やメタミドホス汚染は見つからなかった。

 余新民:

 三、輸送過程の調査。毒の入った2ロットのギョーザは共に工場で直接コンテナに積まれており、陸上輸送を担当する天津市立志貨運有限公司の運転手、天洋食品廠の倉庫保管係、工場の国際貿易部品質検査係が共同で封印し運び出した。コンテナは日本の横浜、大阪に着いた後、検品のため封印が切られた。ここでも異常は発見されなかった。

 余新民:

 四、重点要員についての調査。聞き取り、上級や同僚との面談および周辺調査など複数の方法で、包装、倉庫および包装材料保管の三つの重要な段階の関係者55人について、工場側と対立していなかったか、異常な態度がなかったか、メタミドホスに触れる条件がなかったかなど10の面について逐一調べたが、毒物を混入した疑いのある者は発見されなかった。

 余新民:

 五、関係ある物証についての検査と実験。ギョーザの入ったプラスチック袋について浸透実験を行うとともに、メタミドホスの性状について研究・分析を行った。浸透性の実験において、セ氏マイナス18度(ギョーザの貯蔵、輸送、販売時の冷凍温度)の条件下で、濃度1%、10%、30%、60%のメタミドホス農薬溶液はすべて、10時間以内にギョーザの袋の外側から内側へしみ込んだ。

 余新民:

 六、日本の警察との交流・協議。中毒の発生現場、毒の入ったギョーザおよび関係の物証がすべて日本にあることから、真相究明のため、公安省は2月20日、余新民刑事捜査局副局長が率い、公安省首席刑事捜査専門家烏国慶、崔道植両氏ら10人からなる作業チームを派遣して、日本の警察と進んで協議、交流した。日本側は現場や事件にかかわる物証、検査・鑑定結論を調べたいとするわが方の要求に同意せず、物証の採取、検査の全面的状況についても説明しなかった。まことに残念なことだった。

 余新民:

 調査の結果次のことが確認された。河北石家荘天洋食品廠の製造管理は厳格で、出勤する社員はすべて身分証を示さなければならず、製造現場に入る者は作業服を着、消毒をし、キャップを被らなければならない。しかも専門の検査係がおり、においの強いメタミドホスを作業場に持ち込むことは難しい。ギョーザ製造の工程は簡単で、ラインが短く、どの工程も集団作業で、相互に監視するとともに、リアルタイムの監視カメラもあり、製造現場で人為的に毒物を混入する機会を見つけるのは難しい。輸出ギョーザは出荷と同時にコンテナに積まれ、封印をして輸送され、日本側が日本で検品のため封印を切るが、異常は発見されていない。

 余新民:

 このことから中国の警察は、これは残留農薬による食品安全事件ではなく、人為的な個別的事件だと考えている。全面的で綿密な調査、実験を経て、われわれは、メタミドホスの混入が中国国内で起きた可能性は極めて小さいと考えている。

 余新民:

 われわれは、中日双方が誠実に協力し、協業によって調査し、早急に真相を究明して、両国国民に責任ある説明をすることができるよう心から希望している。

 魯広錦:

 次に記者の皆さんに質問していただきたい。質問の際は、所属メディアを告げて下さい。

 新華社記者:

 魏副局長、余副局長に二つのことを質問したい。日本の警察は、精密機器でメタミドホス農薬中の不純物を検査し、中毒を起こした農薬が日本で製造されたものでないことが証明されたと言い、これを基にメタミドホスが日本国内でギョーザに混入した可能性は低いと推断している。中国側のコメントを聞きたい。中国または他の地方でメタミドホスを違法に購入した後、日本に持ち込むことはありえないか、そのような可能性はないか。

 余新民:

 大変よい質問だ、お答えしよう。私は専門家チームを率いて日本に行き、警察当局と直接意見を交換し、協議し、情報を交換し、毒物投下がいったいどの段階で起こったかについて共同で分析した。日本の警察は彼らの調査の結論を持ち出した。彼らは毒物混入が日本国内で起きた可能性は低い、言い換えれば微々たるものとした。この結論を出した根拠はこうだ。ギョーザを包装したプラスチック袋には破損はなく、開けられてもいないのに、袋の内側からメタミドホスが検出された。実験をしたが、メタミドホスが外側から袋の中にしみ込むことはないとみられる、と。

 余新民:

 日本の警察の第2の根拠はこうだ。日本国内にはメタミドホスの農薬はない。日本で得られたサンプルは実験室で使われる純粋なメタミドホスで、不純物は含まれていない。中毒を起こしたギョーザや問題の包装袋から検出したメタミドホスには不純物が含まれていた。

 余新民:

 日本の警察はさらに、第3の根拠を示した。つまり三つの中毒事件のうち、二つは千葉で、一つは兵庫県で起きている。三つの中毒事件が起きた二つの場所はおよそ700㌔離れており、この2ロットの貨物の輸送過程で、日本本土には接点がない。

 余新民:

 日本警察のこの結論に対して、われわれは即座に提案を行った。われわれはこの時点でこのような結論を出すのは時期尚早だと考えた。そして第1にさらに調査を掘り下げる必要がある、第2にさらに一層の試験を進め、より科学的、より客観的に行う必要がある、第3に関連した問題の調査について一層の交流を進める必要があるとした。しかし残念ながら、日本の警察は当日、この結論をメディアに公表した。

 余新民:

 メタミドホスの農薬が袋の外から中に染み込むかどうかについて、袋の外から中へ染み込むというのがわれわれの実験の結果である。

 実験の方法、実験の条件、実験の結果が科学的かどうかの問題については、物証鑑定センター副主任、研究員の王桂強氏からお答えする。

 王桂強:

 以下、公安省物証鑑定センターによるギョーザ袋のメタミドホス浸透実験の状況について説明したい。われわれ公安省鑑定センターは天洋食品廠で製造された重さ13㌘の「ひとくち」ギョーザの袋について、封をした状態でのメタミドホス浸透実験を行った。われわれの実験の結果、メタミドホスの農薬が完全に封をされたギョーザの包装袋の外側から浸透の方法でギョーザ袋の内側に入ることが示された。

 王桂強:

 実験条件を出来るだけ実際の状況と同じか近いものにして、実験の結論の価値を高めるため、われわれは実験の設計で特別な工夫をした。そしてメタミドホスの農薬をアルコールか水で60%、30%、10%と1%の4段階の濃度に薄めて、完全に封をしたギョーザ袋の外側に塗り、その後零下18度の温度(ギョーザの貯蔵、輸送、販売時の冷凍温度)の中に10時間置いた。その後ギョーザの袋を開け、有機溶剤でギョーザ袋の内側を抽出し、さらにガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)と高感度窒素リン検出器付きガスクロマトグラフィー(GC-NPD)、炎光光度型検出器付きガスクロマトグラフィー(GC-FPD)を使って検査を行った。

 王桂強:

 われわれの検査の結果、四つの濃度のメタミドホス溶液はすべて、封をしたギョーザ袋の外側から内側へ染み込み、実験に使われた62のギョーザ袋のサンプルのうち、87%の袋の内側からメタミドホスが検出された。われわれの浸透性実験の結果は日本の警察の実験結果と完全に異なっている。われわれはいくつかの比較をして、いったいどのような違いがあるか、どんな差異があるみてみた。だが検査の抽出、測定方法で、われわれと日本の警察のやり方はほぼ変わらないことがわかった。

 王桂強:

 しかし次の四つの面で、両者のやり方に大きな差異があった。第1はメタミドホスの剤型の選択、第2は使用するメタミドホスの濃度と用量の選択、第3は実験した包装袋の状態、第4はサンプル保管の基本的条件。われわれは、われわれの実験条件の選択と設計は実際の状況により近く、実際の状況をよりよく反映できると考えている。

 王桂強:

 また日本で中毒を起こしたメタミドホスから不純物が検出された問題についてだが、われわれはこの問題についても実験研究と分析を行った。ギョーザ中毒事件の物証であるメタミドホス、つまり被害者が食べた物証のメタミドホスとわれわれが抽出したサンプルのメタミドホス、およびわれわれが理解しているメタミドホスの製造工程について、検査と分析を行った。最後にわれわれは次のような結論を得た。つまりギョーザ中毒事件の物証であるメタミドホスに含まれている数種の主要な不純物成分をメタミドホスの供給源判別の特徴にすることはできない。

 王桂強:

 中国の警察との交流の際、日本の警察はわれわれにギョーザ中毒事件の物証であるメタミドホスのGC-MS検査スペクトルを提供した。このスペクトルは物証のメタミドホスに含まれる数種の不純物の成分を表示でき、物証のメタミドホスが純粋でないものであることを物語っている。事件の調査期間に、わが物証鑑定センターはGC-MSを使って、石家荘市公安局が抽出した五つのメタミドホス農薬サンプルについて検査・分析を行った。これらのサンプルにはすべてこれら数種の不純物成分が含まれていた。しかし今回の中毒事件における物証のメタミドホス、さらにわれわれのサンプルであるメタミドホスから検出された数種の不純物成分はすべて、国連食糧農業機関(FAO)がメタミドホス製品について定めた基準で存在することが認められた不純物である。つまりこれらの不純物は工業生産でメタミドホスを合成する過程でよくみられる中間体や副産物にすぎないのだ。これらの不純物は各国で生産されるメタミドホス工業品中に普遍的に存在しており、供給源判別の特徴とすることはできない。したがって、われわれの物証鑑定分野の応用の原理からみて、これら不純物の成分の存在は中毒事件における物証のメタミドホスが純粋なメタミドホスではなく、工業用メタミドホス製品であることを示すにすぎず、メタミドホスの農薬のメーカーを正確に判別する機能はもっていない。この二つの実験・研究の基本的状況についての説明は以上である。

 余新民:

 さきほど新華社記者が行った2番目の質問は非常に鋭いものであり、ここでお答えしたい。経済がグローバル化し、貿易が自由化され、各国が大きく開放された現代社会において、いかなる国や地域も自己の管理範囲内に、禁制品がなく、そのような禁制品完全に他の国や他の地域から自国の国土に流入したものだと約束することはできない。。この回答で先の記者は満足できるだろうか。

 魏伝忠:

 私も少し補充したい。メタミドホスが日本製か、中国製か、それとも他の国で製造されたものかを不純物によって判断するというのは、一つの科学研究の問題である。ここで過剰な論評をする考えはない。さきほど余副局長と王主任がこの問題について詳細な説明をした。私はさきほどの余副局長の意見に同意する。古今東西、組織的、計画的な犯罪行為はすべて直接外部に露見するものではなく、すべてかなりの隠蔽性をもっている。犯罪のいかなる可能性も存在しており、今回の日本のギョーザ中毒事件を含めて、何者かが他の国や地域から不法に農薬を購入して日本に持ち込む可能性は排除できない。

 魏伝忠:

 河北省の関係方面の通報によると、2月15日、河北の関係方面は、日本の記者がメタミドホスの農薬を購入、保有、携帯し、持ち出そうとした事件が摘発された。中国の関係法律・法規によると、2007年1月1日から、メタミドホスの農薬を農業で使用することはできない。輸出納品任務を達成していないメーカーが輸出納品のために、2008年12月31日まで生産する場合を除いて、メタミドホスを生産、販売、使用、所持、輸送するのは2008年1月1日から、すべて重大な違法行為となる。

 中央テレビ記者:

 二つのことについて魏副局長にお答えいただきたい。中国から日本に輸出される食品の合格率はどのくらいか。日本から中国に輸出される食品の合格率はどれくらいか。100%合格はあるのか。次に、現在日本で中国製食品の安全性を懸念する気持ちが高まっている。これをどうみるか。

 魏伝忠:

 われわれも、最近、「ギョーザ中毒事件」の影響で、日本の消費者が中国の食品の安全性問題を心配し、多くの人が中国の食品を買いたくない、今後は買わないと言っていることに留意している。さきほどのは大変よい質問だった。この機会に、中国の輸出食品の状況について皆さんに紹介したい。主に中国から日本に輸出される食品の合格率と日本から中国に輸出される食品の合格率の問題について答えたい。

 魏伝忠:

 中国政府は以前から食品の安全性を非常に重視し、厳格な管理措置を定めており、中国の輸出食品は高い合格率を保持している。2007年7月20日、日本の厚生労働省は、中国から輸入される食品の2006年の合格率が99・42%に達しており、日本の輸入食品の中で合格率が最も高いものの一つだと発表した。中国の食品に対する日本のモニタリング検査率も最も高く、15・7%に達している。2007年の関係統計によると、中国から日本に輸出される食品の合格率は99・81%に達し、日本から中国に輸出される食品の合格率は99・3%に達している。

 魏伝忠:

 これらデータが十分示しているように、中国の食品の安全は完全に保障されており、私はメディアの皆さんが中国の食品の安全な状況を客観的にありのまま伝えるよう希望している。同時に今回の日本のギョーザ中毒事件は基準を超えた残留農薬によって引き起こされた食品の安全の事件ではなく、完全に人為的な事件であることを改めて申しあげる。

 魏伝忠:

 ギョーザ事件が起き、中国政府は重大視し、迅速に調査を進め、調査状況を迅速に透明性高く公開した。これは中国政府が中国人民の食品の安全に対して責任を負うだけでなく、中国の食品を食べるすべての消費者に責任を負うことを示している。中国政府がこうした断固かつ果断な措置をとった理由は、第一に消費者に対して高度に責任を負うわれわれの姿勢を示すためであり、第二に個別の事件が中日友好の大局に影響を与え、中日両国人民の友好的感情を損なうのを希望しないからである。

 日本読売新聞記者:

 余副局長にお聞きしたい。あなたは今、調査結果を発表しましたが、それはあなた方の調査が終了したことを意味するのでしょうか。あなた方は、今回の事件は完全に人為的事件と考え、また中国国内で起きた可能性は極めて小さいと言いましたが、あなた方は今回の事件は日本国内で起きたと考えていると理解していいのでしょうか。

 余新民:

 今の読売新聞記者の質問は非常に良い。日本の警察の調査後の結論は日本でメタミドホスが混入した可能性は非常に低いというものだった。私が今発表したように、中国の警察は調査と科学的実験を行い、中国国内で人為的に毒物を入れた可能性は極めて小さいと考えている。両国の警察が下した結論にはそれぞれ根拠があるが、しかし、どちらがより科学的、客観的で、信頼できるかをみなければならない。われわれはこうした結論を下したが、事実・真相はまだはっきりしておらず、両国の警察は調査を終わらせるべきではなく、協力を一層強化し、互いに支援し、共同でこの事件の真相を究明し、両国人民に対して責任をもって説明する責任がある。この人為的事件について、われわれは調査の結果、わが国で起きた可能性は極めて小さいと判断しているが、日本国内で起きたとも言っていない。今回の最終的結論はわれわれの徹底調査を待たなければならない。あなたの質問に感謝する。

 チャイナデーリー記者:

 魏副局長にお聞きしたい。今あなたは中日双方が食品の安全に関する長期的に有効な協力の仕組みを早期に確立することを希望するといったが、その仕組みにはどのような内容が含まれるのか。現在、そうしたわれわれの呼びかけに日本はどのように反応したのか。有難うございます。

 魏伝忠:

 中国国家質検総局は現在、日本の厚生労働省と食品安全協力の長期的に有効な仕組みづくりを積極的に進めている。協力の内容については、われわれは人員、情報、技術交流、定期会合制度、重大食品安全事件の協力、連絡場所の確立などの面で協力関係を築くことを希望している。2月2日、われわれ訪日調査チームは日本側にこうした希望を表明した。2月21日、私は日本の中国駐在公使と会見した際、「食品の安全に関する中国国家質検総局と日本国厚生労働省の協力取り決め」の草案を正式に手渡した。われわれは日本側の積極的な反応が得られ、取り決めを早期に調印されることを希望している。

 中国国際放送局記者:

 余副局長に一つ質問があります。日本の警察は販売業者が発見した、疑われるギョーザを検査したところ、包装の袋の上でメタミドホスを発見し、また販売業者はその中の二つの包装をメーカーに返送したという情報があります。一つ質問したいことは、これは日本の警察が確認したことであるのか。またわが国の警察はその二つの包装の袋を見つけ、検査したのか。有難うございます。

 余新民:

 あなたのその情報は正確なものだ。その質問にはわれわれの物証鑑定の専門家、王桂強氏が答えます。

 王桂強:

 公安省物証鑑定センターは2月25日、石家荘市公安局がわれわれに送ってきたギョーザのプラスチック製の二つの袋を受け取った。検査機関の説明によると、その二つの袋は表面に付着物があったことから日本の輸入業者が天洋食品工場に郵送したものである。その二つのプラスチック製の袋は公安省に送られ、われわれはメタミドホスの検査を行った。われわれはGC-MS(確認検査)機器とGC(スクリーニング検査)機器を使って、ギョーザの二つのプラスチック製の袋を検査した。検査の結果は、二つの袋の外側と内側からメタミドホスが検出され、袋の外側のメタミドホスの量が内側を大きく上回り、外側と内側のメタミドホスの比率はメタミドホスが袋の外側から内側に浸透した可能性を示している。

 日本の記者:

 余副局長にお聞きしたい。メタミドホスの入手ルートの問題について、今あなた方は今回のギョーザ中毒事件を引き起こしたメタミドホスは必ずしも中国で生産されたものではなく、第三国で生産された可能性があると説明しましたが、中国の警察はメタミドホスの入手ルート問題をどのようにみているのか、手がかりはあるのか。

 もう一つ魏副局長に質問があります。今回の千葉県と兵庫県で中毒事件が起きてから、日本は中国で製造された食品の問題について発表している。あなたは今、中国から日本に輸出された食品は日本から中国に輸出された食品より合格率が高いと紹介された。今回のような問題が見つかったら、どのように解決すべきか。

 魏伝忠:

 その質問にはすでに答えています。あなたは最近、私や皆さんと同様に中国から日本に輸出された食品の安全問題に関心を払っています。最近の連続2回の質検総局の記者会見でもそうした質問に答えた。私は、最近、中国が輸出したサバから基準を超えるジクロルボスが検出され、中国から輸出されたニラまん、エビ・ニラまんから基準を超える残留農薬が検出され、浙江から輸出されたイカてんぷらから基準を超える残留農薬が検出された問題に留意している。

 魏伝忠:

 これらの問題について、われわれは真剣な調査と事実確認を行い、関係の情報を発表した。ここであなたが質問した以上、われわれも簡単に答えたい。

 山東威海宇王公司が輸出したサバから基準を超えるジクロルボスが検出された問題について、宇王公司が使用した原料はデンマークから輸入したサバで、生産の各段階でジクロルボスは使用していない。山東検査検疫局と威海検査検疫局は一緒に最先進の検査方法と検査機器を使って、すべての製品を逐一検査したが、基準を超えるジクロルボスは見つからなかった。

 魏伝忠:

 日本の販売業者の香西物産は二袋の製品を民間機関で検査し、基準を超えるジクロルボスが含まれていたと言い、盛んに騒ぎ立て始めた。われわれは、この検査結果は日本の厚生労働省の再検査を受けていないと考えている。

 山東仁木公司と清清仁木公司が輸出したニラまんとエビ・ニラまんから基準を超える残留農薬が検出された問題について、山東検査検疫局も真剣に検査したが、いかなる問題も見つかっていない。最近の2月22日、日本の横浜の検査機関が再検査した結果、すべての製品が基準を超えていなかった。

 浙江の輸出企業が輸出したてんぷら製品から基準を超える残留農薬が検出された問題について、23日、日本のメディアは基準を超えていたと報道したが、24日に日本の輸入機関は、再検査の結果、すべての指標が要求にかない、基準を超えたものはなかったと発表した。浙江検査検疫局は連夜にわたり検査を行い、すべての指標について検査したが、基準を超えるものは見つからなかった。

 魏伝忠:

 最近、日本の生活協同組合も専門家を動員して、生産管理と生産加工の各段階など、この企業を真剣に検査し、関係の製品について再検査した。得られた結論は、この企業の管理は規範にのっとったもので、いかなる異常も見つからず、すべての製品が日本の基準にかなっているというものだった。

 魏伝忠:

 ここで次のように説明したい。このところ「ギョーザ事件」のために、みなが食品の安全の問題について少し敏感になっている。さらに関係の販売業者、輸入業者も一部の検査結果に対して、いくらか客観的でなく、不公正で、さらに発表の際、少し無責任である。最終的に直ぐに是正されても、中国の食品に対する悪しき影響、マイナスの影響はすでに起きており、中国の食品の損害を招いている。こうした問題の解決方法について、私は非常に簡単であると思っている。ギョーザ事件は中日双方の共同調査を通じて、今日、皆さんには一つの全体的な認識があるはずで、理性的な思考に戻り、正常な思考に戻るべきで、再び間違った情報でミスリードされるべきでないと思う。

 魏伝忠:

 それから、われわれはどのように解決するのか。一つは中日の関係主管機関が緊密な協力関係を結び、食品の重大な安全事件に対する意思疎通、協調、協議、解決の仕組みを含め、いくつかの問題について定期的に協力・交流し、情報交換し、こうした協力を通じて、関係の問題を解決することである。実際のところ、長年、中国は米国、欧州連合(EU)など関係国・地域との間で、緊密に協力する仕組みによって食品の安全面の問題を適切に解決している。同時に中国政府は輸出食品の生産企業に対する監督・管理を強化し、原料加工から生産加工、包装、輸送、輸出の各管理段階を隙間なく管理するチェーンをつくることが差し迫って必要である。同時に、われわれは輸出生産企業に対し、信用管理の方法をとり、国外で輸出製品から基準を超える残留農薬が検出されたり、その他不合格になったりする状況があれば、われわれは返送、回収の方法をとり、企業に対して厳格な検査を実施し、問題が見つかれば真剣に是正する。われわれは優れた企業と悪しき企業をリストアップする方法をとり、優秀企業と不合格企業のリストを社会に公表している。国外で問題が見つかった企業が直ぐに是正しなければ、輸出資格は取り消される。同時に国際慣行において、貿易双方が輸出と輸入の中で品質不合格の問題が起きれば、解決する貿易ルール、国際協約があり、これは本来、非常に正常なことである。有難うございます。

 余新民:

 先ほどの読売新聞記者のメタミドホスが第三国から日本に持ち込まれたのか否か、どのようなルートで入手したのかの質問について、私の答えが誤解を招く可能性あると思うので、説明したい。われわれの警察は事情・真相を調べる際、科学的思考方法に従うべきであり、より一層オープンであるべきであり、あらゆる可能性を追求すべきで、簡単に一つ一つに対応する形で判断し、結論を出すことはできない。行為者がどのようにしてメタミドホスを入手したかについては、大胆に仮説を立て、注意深く証拠を集め、事実・真相を究明してはじめて、結果がはっきりし、入手ルートもはっきする。私の答えが問題を説明できただろうか。有難うございます。

 日本のNHK記者:

 余副局長に質問したい。われわれはきょう、中国側の結論を聞きましたが、毒物の混入はいったい日本で起きたのか、それとも中国で起きたのでしょうか。日本の消費者は中国製の冷凍ギョーザや冷凍食品を安心して食べることができない。中国は今後、どのような点を調査するのか。相手側の警察とどのような点を調査するのか。有難うございます。

 余新民:

 あなたの今の質問は両国の人民、両国の政府も、特に両国の警察が共に関心を寄せる問題です。日本の警察の判断とわれわれの判断はともに、自国内の可能性は小さく、非常に低いとし、日本の判断は非常に低いであり、われわれの言っているのは極めて小さいである。しかし、両国の警察には協力を強め、力を合わせ、率直・誠実に交流し、情報を提供し、決意を固め、自信を固め、措置を強め、さまざまな可能性について深くきめ細かく調査し、必ず真相を究明する責任がある。被害者に対して慰めとなり、広範な消費者に対しても責任ある説明を行う。今後どのように調査を進めるかについては、われわれ警察の調査活動の内部のことであり、ここで明らかにすることは適切でない。

 魯広錦:

 きょうの記者会見はここまでとします。皆さん有難うございました。