乳児の乳房早期発育と粉ミルクは関係なし中国衛生部説明
2010/08/17

 

    中国衛生部は15日、「聖元社の粉ミルクが乳児の性的早熟を招いたと疑われる問題」の調査結果を発表し、乳児の乳房の早期発育は飲んだ粉ミルクと関係がないと指摘するとともに、市場で抜き取り検査した聖元社の粉ミルクと他の粉ミルクのホルモン含有量に異常はなかったと発表した。

    先ごろメディアが、湖北省の3人の乳幼女児の乳房の発育が目立ち、いずれも聖元社の粉ミルクを飲んでいたため、保護者が粉ミルクの中に女性ホルモンが過剰に含まれていて「性的早熟」を招いたのではないかと疑っていると報じた。

    2008年に腎臓に障害をもたらす可能性のあるメラミン入りの粉ミルクが出回った「三鹿粉ミルク事件」が起き、中国の消費者は粉ミルクの問題に特に関心を持っている。湖北に続き、河南、広東、湖南などでも同様の例が報道された。

    中国政府はこの問題を重くみ、今回、国務院食品安全委員会弁公室の直接の組織・調整の下、衛生部が関係省庁および湖北省と共に調査に乗り出し、粉ミルクのホルモン含有量を検査し、同時に乳児を診察した。

    衛生部は北京市疾病予防抑制センター、中国検査検疫科学院などの検査機関に委託し、粉ミルクの女性ホルモンと黄体ホルモンの含有量を平行して検査した。

    その結果、抜き取り検査した聖元社の42点の粉ミルクからジエチルスチルベステロールや酢酸メゲストロールなど使用が禁止されている外因性の性ホルモンは検出されず、内因性の女性ホルモンと黄体ホルモンの検出値も国内外の文献などで許容されている範囲内だった。

    衛生部の鄧海華報道官は「検査したサンプルは湖北省の乳児が飲んでいた粉ミルクの残りと湖北省武漢や北京の市場で販売されていた聖元社の粉ミルク優博、優聡である」と述べ、同時に国内外の14社の製品20種、31点のサンプルを検査したが、「いずれもホルモンの含有量に異常はなかった」と強調した。

    鄧報道官は専門家の説明を引用し、次のように述べた。牛乳の中には天然の内因性性ホルモンが微量含まれているが、それらが人体の健康を害することはない。国内外で牛乳の内因性性ホルモンの限度量について基準を定めているところはなく、一般的状況では通常、検査を行わない。

    しかし、特殊な状況では関係機関が動物性食品に含まれるホルモンの検査を行う。例えば北京五輪では選手のドーピング問題で食品の過剰ホルモンの検査を行った。今回の粉ミルクの検査を担当した機関は北京五輪で食品検査を行ったところ。

    中国獣医薬品監察所の王樹槐研究員によると、中国の粉ミルク中のホルモンの検査方法と基準はすでに定められており、関係機関の審査・認可を経て、早ければ数カ月内に発表されるという。

    また小児科、栄養、食品安全、検査などの複数の専門家からなる衛生部のチームが湖北の3人の乳児を診察し、ホルモンのレベルや骨年齢などを検査した。そして発育が著しく速いことはなく、「単純性乳房早期発育」と判断されるだけで、臨床でよく見られる症例であるとされた。

    今回の症例研究に参加した北京協和病院内分泌垂体性腺学研究グループの長を務める伍学エン(火三つ)教授は、報道された湖北の3人の乳児はいずれも正常な性徴の範囲にあり、骨年齢が通常より進んでいることもないし、成長の速度が通常より早いとはいえないと述べた。

    中国の権威ある小児科の専門家、楊艶玲氏は以前のインタビューで次のように説明している。子供の性的早熟には真性と仮性がある。「単純性乳房早期発育」は真性ではなく、一種の不完全な性的早熟現象である。単純な乳腺肥大は乳児の生活の変化と発育過程で自然に緩和する。

    世界保健機関(WHO)の統計によると、乳児の「単純性乳房早期発育」の発病率は0・2%である。

    また鄧報道官は次のように強調した。専門家チームは他の5省の六つの小児専門病院の最近5年間の子供の性的早熟についての診察資料と症例について検討し、近年の臨床診療で子供の早熟例が異常に増える傾向は見られず、母乳だけで育った子と粉ミルクの子の仮性の性的早熟の比率もほぼ同じだったとの見方を示している。

                                                                                                                                                         (北京8月15日発新華社)