食品などの生産物の安全監視管理強化に関する国務院の特別規定
2007/08/06

 

中華人民共和国国務院令

(第503号)

「食品などの生産物の安全監視管理強化に関する国務院の特別規定」は2007年7月25日、国務院第168回常務会議で採択され、ここに公布する。公布の日から施行する。

総理温家宝

2007年7月26日

 第1条 食品などの生産物の安全に対する監視管理を強化し、生産・経営者〈販売、営業、流通、取り扱いの意〉、監視管理官庁および地方人民政府の責任を一層明確にし、各監視管理官庁の協調と協力を強め、人の健康と生命の安全を守るため、本規定を制定する。

 第2条 本規定でいう生産物には食品のほか、食用農産物、薬品など人の健康と生命の安全にかかわる生産物が含まれる。

 生産物の安全監視管理について、法律の規定がある場合、法律の規定を適用し、法律の規定がない、または規定が明確でない場合は、本規定を適用する。

 第3条 生産・経営者はその生産、販売する生産物の安全に責任を負わなければならず、法律で定められた要求に適合しない生産物を生産、販売してはならない。

 法律、行政法規の規定により、生産物の生産、販売に許可証または認証を受ける必要がある場合、法定の条件、要求に従って、生産・経営(営業)活動を行わなければならない。法定の条件、要求に従わず、生産・経営活動または法定の要求に適合しない生産物を生産、販売した場合、農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監督管理官庁がそれぞれの職責に基づき、違法所得、生産物と違法生産に使った道具、設備、原材料などの物品を没収し、生産物の金額が5000元未満の場合は5万元の罰金に処す。5000元以上1万元未満の場合、10万元の罰金に処す。1万元以上の場合、生産物の金額の10倍以上20倍以下の罰金に処す。重大な結果を招いた場合、許可証の原発給官庁が許可証を取り消す。違法経営罪または偽物・劣悪商品生産・販売罪などの犯罪を構成する場合、法により、刑事責任を追及する。

 生産・経営者が法定の条件、要求に適合しなくなったのに、生産・経営活動を続けた場合、許可証の原発給官庁が許可証を取り消し、あわせて地元の主要メディアに、許可証が取り消された生産・経営者の名簿を公告する。不法経営罪または偽物・劣悪商品生産・販売罪などの犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。

 法により許可証を取得すべきであるのに許可証を取得せずに生産・経営活動を行った場合、農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁はそれぞれの職責に従い、違法所得、生産物と違法生産に使用した道具、設備、原材料などの物品を没収し、生産物の金額が1万元未満の場合、10万元の罰金に処す。生産物の金額が1万元以上の場合、生産物の金額の10倍以上20万元以下の罰金に処す。違法経営罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。

 関係の業界協会は業界の自律を強め、生産・経営者の生産・経営活動を監視しなければならない。公衆健康知識の普及、宣伝を強化し、消費者が適法な生産・経営者が生産、販売する生産物および適法な標識(ラベル)のある生産物を選ぶよう指導する。

 第4条 生産者が生産物を生産するのに使用する原料、補助材料、添加物、農業投入品は法律、行政法規の規定と国の強制的規格に適合していなければならない。

 前項規定に違反し、原料、補助材料、添加物、農業投入品を違法に使用した場合、農業、衛生、品質検査、商務、薬品などの監視管理官庁がそれぞれの職責に従い、違法所得を没収し、生産物の金額が5000元以下の場合、2万元の罰金に処す。生産物の金額が5000元以上1万元未満の場合、5万元の罰金に処す。生産物の金額が1万元以上の場合、生産物の金額の5倍以上10倍以下の罰金に処す。重大な結果を招いた場合、許可証の原発給官庁が許可証を取り消す。偽物・劣悪商品生産・販売罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。

 第5条 販売者は仕入品検査確認制度を設け、実施し、納入業者の営業資格を審査し、生産物の適格証明と標識を確認し、また仕入台帳を作り、商品の名称、規格、数量、納入業者および連絡方法、仕入期日などの内容をありのままに記録しなければならない。卸業務を行う販売企業は商品販売台帳を作り、卸した商品の品種、規格、数量、卸先などの内容をありのままに記録しなければならない。商品を集中的に取引する場所で自家製品を販売する生産企業は、卸業務を行う販売企業の規定に準拠し、生産物販売台帳を作る義務を履行しなければならない。仕入台帳と販売台帳の保存期間は2年以上とする。販売者は納入業者に対し、生産物の生産ごとに、法定の条件に適合する検査機関が発給した検査報告書または納入業者が署名または捺印した検査報告書のコピーを請求しなければならない。検査報告書または検査報告書のコピーを提出できない商品を販売してはならない。

 前項規定に違反した場合、工商、薬品監視管理官庁はそれぞれの職責に従い、販売中止を命じる。検査報告書または検査報告書のコピーを提出できずに商品を販売した場合、違法所得と違法販売した生産物を没収し、生産物の金額の3倍の罰金に処す。重大な結果を招いた場合、許可証の原発給官庁が許可証を取り消す。

 第6条 生産物の集中取引市場の開設・経営企業、生産物販売売り場リース企業、商品展示販売会主催企業は販売参入者の営業資格を審査し、販売参入者の生産物安全管理責任を明確にし、販売参入者の営業環境、条件、内部安全管理制度、取扱商品が法定の要求に適合しているか否かの検査を定期的に行い、法定の要求に適合していない生産物の販売またはその他違法行為を見つけた場合、迅速に阻止し、所在地の工商行政管理官庁に即時に報告しなければならない。

 前項規定に違反した場合、工商行政管理官庁が1000元以上5万元以下の罰金に処す。情状が重大な場合、業務停止・是正を命令する。重大な結果を招いた場合、営業許可証を取り消す。

 第7条 輸出商品の生産・経営者はその輸出生産物が輸入国(地域)の基準または契約の要求に適合していることを保証しなければならない。法律で検査に合格してはじめて輸出できると規定されている生産物は法律の規定に適合した機関の検査に合格しなければならない。

 輸出生産物の検査員は法律、行政法規の規定と関係の基準、手続き、方法に従って検査し、その発給した検査証書などに責任を負わなければならない。

 出入国検査検疫機関と商務、薬品などの監視管理官庁は輸出生産物の生産・経営者の良好記録と不良記録を付け、公表しなければならない。良好記録のある、生産物を輸出する生産・経営者に対しては検査検疫手続きを簡素化する。

 生産物を輸出する生産・経営者が商品検査を逃れ、または虚偽の報告を行った場合、出入国検査検疫機関と薬品監視管理官庁がそれぞれの職責に従い、違法所得と生産物を没収し、また生産物の金額の3倍の罰金に処す。犯罪を構成する場合、法により刑事責任を追及する。

 第8条 生産物輸入はわが国国家技術規範の強制的要求およびわが国と輸出国(地域)が調印した取り決めで規定された検査要求に適合していなければならない。

 品質検査、薬品監視管理官庁は生産・経営者の信頼度と品質管理水準および生産物輸入リスク評価の結果に基づき、生産物輸入に対して分類管理を実施し、また輸入生産物の受取人について届け出管理を実施する。輸入生産物の受取人は輸入生産物の行き先をありのままに記録しなければならない。記録の保存期間は2年以上とする。

 品質検査、薬品監視管理官庁が法定の要求に適合しない生産物を発見した場合、法定の要求に適合しない生産物の仕入人、検査申請人、代理人を不良記録名簿に入れることができる。輸入生産物の仕入人、販売者が虚偽の報告を行った場合、品質検査、薬品監視管理官庁がそれぞれの職責に従い、違法所得と生産物を没収し、生産物の金額の3倍の罰金に処す。犯罪を構成する場合、刑事責任を追及する。輸入生産物の検査申請人、代理人が虚偽の報告を行った場合、検査申請資格を取り消し、また生産物の金額相当の罰金に処す。

 第9条 生産企業がその生産する生産物の安全性に問題があり、人の健康と生命の安全を損なう可能性のあることを発見した場合、社会に関係の情報を公表し、販売者に通知して、販売を中止し、消費者に使用を中止するよう告知し、生産物を自主的に回収し、また関係の監視監督官庁に報告しなければならない。販売者は当該生産物の販売を直ちに中止しなければならない。販売者はその販売する生産物に安全性の問題があり、人の健康と生命の安全を損なう可能性のあるのを発見した場合、当該生産物の販売を直ちに中止し、生産企業または納入業者に通知し、関係の監視監督官庁に報告しなければならない。

 生産企業と販売者が前項規定の義務を履行しなかった場合、農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁がそれぞれの職責に従い、生産企業に生産物の回収、販売者に販売の中止を命令し、生産企業を生産物の金額の3倍の罰金に処し、販売者を1000元以上5万元以下の罰金に処す。重大な結果を招いた場合、許可証の原発給機関が許可証を取り消す。

 第10条 県クラス以上の地方人民政府は生産物の安全監視管理を政府業務の考課目標に組み入れ、当該行政区域内の生産物の安全監視管理に全面的責任を負い、当該行政区域内の監視管理業務を統一的に指導、調整し、監視管理調整の仕組みを整え、行政法執行に対する調整、監督を強めなければならない。指導を統一し、生産物の安全突発事故の対応を指揮し、生産物安全事故の調査、処分を法によって実施する。監視管理責任制を設け、各監視管理官庁に対する評議、考課を行う。品質検査、工商、薬品などの監視管理官庁は所在地の同クラス人民政府による統一・調整の下、法に従って生産物安全監視管理をしっかり行わなければならない。

 県クラス以上の地方人民政府が生産物安全監視管理の指導、調整の職責を履行せず、当該行政区域内で1年に何度も生産物安全事故が起き、重大な社会的影響を招いた場合、監察機関または任免機関が政府の主要責任者と直接責任のある主管者に対し、重大過失記録、降格または免職の処分を行う。

 第11条 国務院品質検査、衛生、農業などの主管官庁はそれぞれの職責の範囲内で関係の国家基準を早期に制定、改正または起草し、統一的に管理され、調整・組み合わされた、実情にかなった、科学的かつ合理的な生産物基準体系を早期に確立する。

 第12条 県クラス以上の人民政府およびその官庁は生産物の安全に対して監視管理を実施し、法定の権限と手続きに従って職責を果たし、公開、公平、公正を実現しなければならない。生産・経営者の同一の違法行為に対して、2度以上罰金に処す行政処罰を行ってはならない。犯罪を構成する疑いがあり、法に従って刑事責任を追及する必要がある場合、「行政法執行機関犯罪容疑案件送致規定」に従い、公安機関に送致しなければならない。

 農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁はそれぞれの職責に従い、生産・経営者に対して監視検査を行い、その強制的基準、法的要求の順守状況を記録し、監視検査員が署名した後、公文書として保存しなければならない。監視検査記録はその直接の責任のある主管者の定期考課の内容としなければならない。大衆は監視検査記録を閲覧する権利がある。

 第13条 生産・経営者に以下の状況が一つでもある場合、農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁はそれぞれの職責に従って措置をとり、違法行為を是正し、危害の発生を防止または減らし、本規定に従って処罰しなければならない。

 (1)法に従って許可証を取得しなければならないのに取得せず、生産・経営活動を行った場合。

 (2)許可証取得または認証を受けた後、法定の条件、要求に従わず、生産・経営活動を行い、または法定の要求に適合しない生産物を生産、販売した場合。

 (3)生産・経営者が法定の条件、要求に適合しなくなった後にも、生産・経営活動を続けている場合。

 (4)生産者が生産物の生産で、法律、行政法規の規定と国の強制的基準に従わずに、原料、補助材料、添加物、農業投入品を使用した場合。

 (5)販売者が仕入品の検査確認制度を確立せず、仕入台帳を作らなかった場合。

 (6)生産企業と販売者がその生産、販売する生産物の安全性に問題があり、人の健康と生命の安全を損なう可能性のあることを発見しながら、本規定の義務を履行しなかった場合。

 (7)生産・経営者が法律、行政法規と本規定のその他の関係規定に違反した場合。

 農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁が前項規定の職責を果たさず、悪い結果を招いた場合、監察機関または任免機関がその主要責任者、直接の責任のある主管要員とその他直接の責任のある要員に対し、重大過失記録または降格の処分を行う。重大な結果を招いた場合、その主要責任者、直接の責任のある主管要員とその他直接の責任のある要員に対し、免職または追放の処分を行う。その主要責任者、直接の責任のある主管要員とその他直接の責任のある要員が汚職罪を構成する場合、法に従って刑事責任を追及する。

 本規定に違反し、職権を濫用、またはその他汚職行為があった場合、監察機関または任免機関がその主要責任者、直接の責任のある主管要員とその他直接の責任のある要員に対し、過失記録または重大過失記録の処分を行う。重大な結果を招いた場合、その主要責任者、直接の責任ある主管要員とその他直接の責任のある要員に対し、降格または免職の処分を行う。その主要責任者、直接の責任のある主管要員とその他直接の責任のある要員が汚職罪を構成する場合、法に従い刑事責任を追及する。

 第14条 農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁が発見した本規定に反する行為が、他の監視管理官庁の職責に属する場合、処理する権限のある監視管理官庁に直ちに書面で通知し、引き渡さなければならない。処理する権限のある官庁は直ちに処理するものとし、責任を転嫁してはならない。直ちに処理せず、または責任を転嫁したために悪い結果を招いた場合、監察機関または任免機関がその主要責任者、直接の責任のある主管要員とその他直接の責任のある要員に対し、重大過失記録または降格の処分を行う。

 第15条 農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁はそれぞれの生産物安全監視管理の職責を果たすうえで、次のような職権がある。

 (1)生産・経営場所での現場検査実施。

 (2)関係の契約、手形、帳簿およびその他関係資料の調査、コピー、封印、差し押さえ。

 (3)法定の要求に適合しない生産物、違法に使用した原料、補助材料、添加物、農業投入品および違法生産に使用した道具、設備の封印、差し押さえ。

 (4)人の健康と生命の安全を脅かす重大な危険のある生産・経営場所の閉鎖。

 第16条 農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁は生産・経営者の違法行為記録制度を確立し、違法行為の状況を記録し、公表しなければならない。何度も違法行為が記録された生産・経営者については、許可証を取り消す。

 第17条 検査機関が虚偽の検査報告書を出し、重大な結果を招いた場合、その資格を与えた官庁がその検査資格を取り消す。犯罪を構成する場合、直接の責任のある主管要員とその他直接の責任のある要員の刑事責任を追及する。

 第18条 生産物の安全事故またはその他社会に重大な影響をもたらす安全事故が起きた場合、農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁はそれぞれの職責の範囲内で迅速に対応し、措置をとり、事態の拡大を抑え、損失を減らし、国務院の規定に従って情報を開示し、関係の善後処置をしっかり行わなければならない。

 第19条 いかなる組織または個人も本規定に違反する行為を通報する権利ある。通報を受けた官庁は通報者の秘密を守らなければならない。通報が調査で事実であることが確認された場合、通報を受けた官庁は通報者を報奨しなければならない。

 農業、衛生、品質検査、商務、工商、薬品などの監視管理官庁はそれぞれの官庁の電子メールアドレスまたは通報電話の番号を公表しなければならない。受けた通報に対し、直ちに全面的に記録し、適切に保存しなければならない。通報の事項が当該官庁の職責に属する場合、受理し、法に従って確認、処理、回答しなければならない。当該官庁の職責に属さない場合、処理の権限のある官庁に引き継ぎ、通報者に告知しなければならない。

 第20条 本規定は公布の日から施行する。